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はじめに~ケアマネジャーに相談するには~
在宅介護をする上で、ケアマネジャーに的確に相談することはは非常に重要です。
そのため、在宅介護を始める方は、ケアマネジャーを選ぶところから慎重になるかもしれません。
在宅介護に関するWebサイトでも、「ケアマネジャーの選び方」なるタイトルも見かけるようになりました。
しかし、残念なことに、その様なサイトや本で学んでも、皆様にとっての良いケアマネジャーと今一つなケアマネジャーの識別は難しいです。
多くの方は、最初に相談したケアマネジャーに決めてしまうことが多いでしょう。
その理由として、在宅介護をがんばる多くのご家族様が、
- ケアマネジャーとは、どのような役割なのか?
- ケアマネジャーは、何を行う人なのか?
これらが分かりにくいため、
- ケアマネジャーとどう関わっていけば良いか?
- ケアマネジャーに何を相談すればよいか?
これらが、曖昧なままの場合が多いことが考えられるからです。
この記事では、皆様が(例え「あれれ?」「おや?」思うような)どのようなケアマネジャーを選んだとしても、皆様が上手にケアマネジャーと関わって行けるように、ケアマネジャーの役割、ケアマネジャーに伝えるときのポイント、ケアマネジャーに相談する際に具体的に伝えるべき内容などを紹介しています。
また、もしも「ケアマネジャーを変えたい」と不信感を抱いている場合には、どう対処すればいいのかも書きました。
ケアマネジャーに上手に相談して在宅介護をより良いものにしていきましょう。
ケアマネジャーの役割やお仕事の中身
- おじいちゃんおばあちゃんの身体の様子の確認(アセスメント)を行い、意向を確認する。
- それに合わせたサービスの提案と連絡調整をする。
- おじいちゃんおばあちゃんやご家族の意向とサービスを盛り込んだ計画書(ケアプラン)を作成する。
- その計画がちゃんと行われていて、おじいちゃんおばあちゃんも満足しているか、月に1回訪問して確認する。
ご家族がどう関わるのがよいか?
- ご家族さんは「歩かせてほしい」や、「転ばないでほしい」という大まかな希望ではなく、もっと具体的(何を、どこで、どれくらい)に伝えるようにしましょう。
在宅介護におけるケアマネジャーの役割とは?
以前のブログで介護認定申請の流れについてお話ししましたね。
介護の認定要するに介護度が出た後、要介護1から要介護5までに該当した場合で、その方が介護保険のサービスを利用したい場合にケアマネジャーは登場します。
なお、介護認定申請の流れについては、こちらのお話を参考にしてください↓
要介護認定で、一番軽い要支援1やその次のよう支援2の場合は?
その場合はケアマネジャーのかわりに地域包括支援センターの職員さんが登場します。
役割はほとんど変わらないので、割愛します。
そもそもケアマネジャーの役割って何なの?
例えば、おじいちゃんおばあちゃんが「デイサービスやヘルパーさんを使いたい」って言ったら、そのままそのサービスを申し込めばいいんじゃないの?
介護保険は国の制度ですので、おじいちゃんおばあちゃんが好き勝手に利用することはできません。
利用するためにもその根拠が必要となります。
いきなり介護保険だとわかりにくいかもしれないので、まずは医療保険で考えてみましょう。
医療保険(病院など)に置き換えてみると
例えば、病院でおじいちゃんおばあちゃんがいきなり「認知症をよくする薬をください」と言っても、処方はされないでしょう。
なぜなら、頭の検査や認知機能の検査、問診などを経て、本当に薬が必要だと医師が判断したら処方箋を書いてくれるものだからです。
同じように、介護保険でもサービスを使うためにはそれなりの根拠が必要なんだよ。
その根拠をはっきりさせて、介護保険のサービスへつなげていくのがケアマネジャーの役割なんだ。
相談するときにケアマネジャーが聞きたいこと
でもさ、今の病院の例えは、検査とかをしたから分かるんでしょ。
介護保険の場合は何を根拠にすればいいのさ?
その根拠を見つけるものがアセスメントと呼ばれる、おじいちゃんおばあちゃんの身体の様子や、気持ちの面の様子、身の回りのことや生活の様子などを確認する段階です。
それで、いろいろ聞いたり、実際に身体を動かしてもらったり、お家のことを確認できたら、おじいちゃんおばあちゃんに何がやりたいか、どうしていきたいかの気持ちの確認をします。
デイサービスの利用について相談したい場合
おじいちゃんおばあちゃんの意向(気持ち)を確認するときに…
「デイサービスに通いたい!」といきなりサービスを指定すればよいとお考えの方が結構います。ですが、ケアマネジャーが聞きたいことは…
「どうしてデイサービスに通いたいか」を聞きたいのです。サニーだったら何と答えますか?
うーん…お話ができる友達ができるといいなとか、サニーは食いしん坊だけどご飯は作れないから、お昼ごはんとか食べたいなとか、例えば、そんなところかな…
そのご飯は一人でもいいの?それともお友達と食べたいの?
サニーはお友達と食べたほうがいいかな。
ここまで聞くことができれば、
「お友達と話がしたい」
「お友達とごはんが食べたい」
という意向がわかるので、ここで初めて、「デイサービスがいいかもしれないね」ってケアマネジャーの方から提案できるのです。
もし、一人でご飯が食べたいって言ったら?
その場合は
「お友達と話がしたい」→地域のお年寄りが集まるサロン的なものを紹介
「一人でご飯が食べたい」→ヘルパーさんにご飯を作ってもらう
のような提案になります。
少しの意向の違いで、サービスが変わるんだね。
そうそう。ここがケアマネジャーの腕の見せ所なの。
ケアマネジャーによっては、「デイサービスを使いたい」と言われたら、「はいはい、わかりましたー」っていうケアマネジャーも中にはいます(御用聞きケアマネと業界ではいいます)。
ですが、使いたいサービスとおじいちゃんおばあちゃんの意向がずれていたら、良いサービスになるかどうかが分からなくなります。
つまり、おじいちゃんおばあちゃんやご家族側から、例えば「デイサービスが使いたい」といったときに、すぐにサービスにつなげようとするケアマネジャーには、ちゃんとおじいちゃんおばあちゃんやご家族の意向が確認できているのか、注意が必要です。
でも、このアセスメントの段階で意向まで聞き出すことは大変だね。
いかにケアマネジャーがおじいちゃんおばあちゃんやご家族から信頼を得るか次第だね。
それと、ご家族のほうに注意があって…
意向を具体的に伝えるために
ケアマネジャーに相談ているとき、例えば、おじいちゃんおばあちゃんに対して「歩かせてほしい」とか「転ばないようにしてほしい」という意向がご家族にあったとします。
いかにも、ありそうな意向だね。
これでは不十分なんだよ。
(。゚ω゚) エッ! そうなの!
「歩けるようにして欲しい」を具体的にケアマネジャーに伝えるには
「歩くこと」って何か目的があってそのために移動することでしょ。
目的ねぇ…(๑°⌓°๑)ポカーン
例えば、
- 寝室からリビングへ行く
- リビングからトイレへ行く
- 外へ出て買い物に行く
そのために歩くわけでしょ。
言われてみればそうだね。
例えばここでは、
「リビングからトイレへ行けるように歩かせてほしい」
と分かったとするよ。
リビングからトイレまでが大体5mくらいだとします。
だいぶ具体的だね。
ここで初めて
- 「5mくらい歩けるようになりたい」
- 「リビングからトイレへ行けるようになりたい」
という意向が確認できて、
「5m歩くこと」に対してはリハビリを使うべきか、あるいは運動をしっかりできるデイサービスがいいのか、
「リビング⇔トイレ間」の移動であれば、手すりの取り付けで解決できるのかなどと検討できるようになります。
「転ばないようにして欲しい」を具体的にケアマネジャーに伝えるには
「転ばないようにしてほしい」という意向については、「転びたくない」というのはおじいちゃんおばあちゃんに限らず、誰だってサニーだって当たり前にそう思うでしょう。
まあね。サニーだって転びたくはないね。
ですから、転ばないように
- 家の中の環境を整えたいのか
- 掃除をしてほしいのか
あるいは、ふらつかないように
- 杖が必要なのか
- 歩行器が必要なのか
などと、もう少ししっかりお話しする必要があるのです。
言われれば分かるけどさ、いざ聞かれたときにちゃんと答えられるかは微妙だね。
でもこれがちゃんと答えられなくても、ケアマネジャーがしっかりしているから大丈夫なんじゃないの?
その通りなんだけど、ケアマネジャーにも力量差があることは否めないよ。
このことから、おじいちゃんおばあちゃんやご家族の気持ちを上手く「意向」に変換できるかどうかが、良いケアマネジャーを選ぶポイントになります。
もしも、もうすでにケアマネジャーが付いていて、担当のケアマネジャーが「御用聞きさん」だったり、経験値が高くないケアマネジャーの場合、この章を参考にご家族側も「具体的な意向」を用意しておきましょう。
アセスメントの後の流れ
アセスメントや具体的な意向ををもとに、ケアマネジャーは計画書(ケアプランと呼ばれています)を作成します。
おじいちゃんおばあちゃんの意向をかなえられそうなサービスを、(介護度によって)使えるお金の範囲内で盛り込みます。
使える金額については、こちらの話で詳しく解説しています↓
それで計画書を書いた後にケアマネジャーがすることはあるの?
その計画が、ちゃんと実行されているか、実行されたサービスに満足しているかを月に1回自宅をケアマネジャーが訪問して、おじいちゃんおばあちゃんと面談して、確認するんだよ。
つまり、月に1回はケアマネさんが来てくれるんだね。
必要であれば2回でも3回でも来てくれます。
ですが、何回行ってももらえるお金が一緒のため、訪問回数が増えてしまうと、おじいちゃんおばあちゃんやご家族は嬉しい反面、ケアマネジャーのもらえる報酬は変わらないから、ケアマネジャーとしてはコスパが悪くなります。
つまり、「困ったとき」には月に1回に限らず、2回、3回と来てくれるかどうかは、ケアマネジャーを選ぶ基準のひとつになります。
ケアマネさんの報酬について
上で報酬の話が出てきたけど、そういえば、ケアマネさんってどこからお金をもらっているの?
やっぱりおじいちゃんおばあちゃんからもらっているの?
ケアマネジャーはお国からお金をもらっています。
もう少し言えば、介護保険のサービスの盛り込まれたケアプランを作って、その計画に沿ってサービスが行われれば、お金がもらえます。
おじいちゃんおばあちゃんからは、1円も頂いていません。
どれくらいもらえるの?
3年に一回見直されるけど、計画書1件あたり、1万円くらいかな。
おお、つまり、100人のケアプランを作れば100万円もらえるの?
いいや、40人を超えてしまうとひとりあたりの金額を減らされてしまうので、100万円ももらえないよ。
そのうえ、100人のおじいちゃんおばあちゃんを担当するのはきっと大変だよ。
そうだよね。生い先が長くないかもしれないし、急な病気で入院することもあるだろうし、そもそも何人担当できるのか分からないから、不安定さはあるね。
そのため、ケアマネさんも企業に雇われて、サラリーマンとして働く形態が主流なんだ。
ケアマネさんは選べるの?~ケアマネジャーの選び方とは?~
ところでケアマネさんって選べるの?
重要!
ケアマネジャーは選ぶことができます。
交代することもできます。
ケアマネジャーの事業所を変えることもできます。
もし、本当に嫌でケアマネジャーを交代したい場合は、担当ケアマネジャーの所属する事業所(居宅介護支援事業所と言います)に相談しましょう。同じ事業所の他のケアマネジャーに交代するか、他の事業所のケアマネジャーが紹介されます。
もし、担当ケアマネジャー所属する事業所にも相談したくない場合は、お近くの地域包括支援センターや市町村役場へ相談しましょう。
ケアマネジャーの交代は何度でも可能ですが、2回以上交代してしまうと、逆に「気難しいご利用者様、気難しい家族」と思われて、ケアマネジャーが担当をしたがらない場合もありますので、注意が必要です。
今回の記事を参考に、ケアマネジャーとうまく関わり、相談できるようにしましょう。
こればかりは、実際にケアマネジャーと関わっていかないとわからないことだからね。
たしかにそうだね。
今日のまとめ
今回は仮に「あれ…?」って思うようなケアマネジャーにあたってしまったときでも、なんとかご家族さん側でうまくケアマネジャーと関わって行けるようなポイントをご紹介させていただきました。
それでは今日のまとめです。
ケアマネさんの役割やお仕事の中身
- おじいちゃんおばあちゃんの身体の様子の確認(アセスメント)を行い、意向を確認する。
- それに合わせたサービスの提案と連絡調整をする。
- おじいちゃんおばあちゃんやご家族さんの意向とサービスを盛り込んだ計画書(ケアプラン)を作成する。
- その計画がちゃんと行われていて、おじいちゃんおばあちゃんも満足しているか、月に1回訪問して確認する。
ご家族さんがどう関わるのがよいか?
- ご家族さんは「歩かせてほしい」や、「転ばないでほしい」という大まかな希望ではなく、もっと具体的(何を、どこで、どれくらい)に伝えるようにしましょう。
何を、どこで、どれくらいは、なかなか伝えるのが難しそうだね。
どうして歩かせてほしいのか、歩いてもらうことで、何をしてほしいのかとかを考えれば、だんだん具体的になるでしょう。
分からなければ、ぜひ「お問い合わせフォーム」もご利用ください。
お問い合わせフォームの内容は、ブログの「コメント欄」とは違って、そのまま福行さんのメールへ飛んでいくので、ブログに出ることはありませんので、ご安心ください。
また、意向について、どう考えれば良いかは以下のブログを参考にしていただくと理解が深まるため、おススメです。
次回もお楽しみに。
皆さんのココロが晴れやかになりますように。
介護保険の流れの中でケアマネジャーが登場するのはどのへんなの?