目次
はじめに~「介護のお金」お食事代とお部屋代が安くなるの?~
前回のおはなしでは、介護保険のサービスの料金は1~3割の負担で支払いができることを説明しました。
今回は、前回のおはなしで、通常は10割の自己負担になる、お食事代やお部屋代が安くなるかもしれない、いわゆる「負担限度額認定申請」のおはなしです。
ちなみに、忘れてしまった、あるいはまだご覧になっていない方はこちらをどうぞ↓
この申請を行って、条件に該当すれば、食事代とお部屋代を安くすることができます。
この申請を知っているのと知らないでは支払金額に大きく差が出ます。
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請すなわち「負担限度額認定申請」の申請方法
- 安くなるかもしれない申請は、ショートステイ、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院で利用ができる。
- 安くなるかもしれない申請には、非課税世帯であること、預貯金に条件があることを踏まえて、申請者の収入によって安くなる段階が決まる。
- 息子さん娘さんと同居の場合、世帯分離によって非課税世帯になることができる。
- ご夫婦の場合は、世帯分離はできず、夫婦どちらかが課税されているもしくは、基準以上の預貯金がある場合は申請できない。
- 安くなる段階は、第1段階(生活保護の人)、第2段階、第3段階①、第3段階②の4つ段階があり、何にも該当しない人(安くならない人)は第4段階となる。
実際にお食事代とお部屋代がどれぐらい安くなるか
- 目次から「【負担段階表】安くなる段階(負担段階)が決まる」に飛んでいただき、アコーディオン表をご覧ください。
その通り。こればかりは行政の人たちの判断によるから、断言できないんだよ。
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請(負担限度額認定申請)の方法
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請(負担限度額認定申請)
- 年金の入る預金通帳の最新の残高を記帳する。
- その通帳を持って、市役所(役場)の介護保険の窓口で申請をする。
- 終わり
- この申請は1年更新のため、毎年7月に申請が必要です。
∑(゚Д゚)ファッ⁉︎ これだけなの・・・? 簡単だね・・・
持参するものに預金通帳は必要なところは注意だね。
この申請(負担限度額認定申請)は介護保険のどのサービスに使えるの?
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請は、以下の施設やサービスでご利用できます。
- ショートステイ
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホームのことね)
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
デイサービスでは使うことができないんだね。
それにしても、いろいろな名前が出てきたね。いちいち覚えきれないよ…
在宅サービスや施設サービスについては、以下のお話を参考にしてください。
【重要】非課税世帯について
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請は、住民税非課税であることが前提となります。
住民税非課税世帯ってなに?
その家に住んでいる人(住民票に載っている人)全員が住民税の課税が0円であることをいいます。
それじゃあ、おじいちゃんおばあちゃんのご高齢のお二人暮らしやお一人暮らしの人しか該当しなってこと?
息子さんや娘さん家族との同居では常に該当しないということになるの?
若い家族と同居している場合は、「世帯分離」という手続きをすれば、同じ家に居ながらにして単独世帯になることもできるよ。
Σ(゚Д゚;!?せっ…世帯分離っ‼
かっ家族が切り離されてしまうの?
縁を切れっていうの?
それともお家がまっ二つにされてしまうの?
そんなの嫌だよ…o(; ;)o
いやいや、安心してね。
同じ住所地なんだけど、住民票が2枚になるってこと。
【ものすごく重要】世帯分離とは?
例えば、コロンもサニーも住民登録がされていたとして、この福行さんちの世帯全員の住民票を取りに行ったとするよ。その場合こうなるよね。
- 世帯主 福行さん
- 福行さんの奥さん
- コロン
- サニーデイ
- サブレ
ここから、コロンが福行さんちから世帯分離した場合は以下の通り。
コロンは相変わらず福行さんちにいるけど、福行さんの家の住所ではこのような2枚の住民票を発行することが可能になるの。
- 世帯主 福行さん
- 福行さんの奥さん
- サニーデイ
- サブレ
- 世帯主 コロン
つまり、住民票上は別々になっただけなんだね。
ふう~よかった。
お金のために家族離散の荒技に出るものかと思ったよ。
実際そう思ってしまう人は結構いるんだよ。
そもそも「世帯分離」って言葉がよくないよね。
「住民票わけわけ申請」とか、なじみやすい名前にすればいいのにね。
安くなるかもしれない申請とか、わけわけ申請とか、もう少しセンスのいい名前をないの?
以下の方々は、世帯分離をしても「安くなるかもしれない申請」の該当にはなりません。
● 申請したいおじいちゃんおばあちゃん自身が課税されている場合→非課税世帯ではないから
● おじいちゃんおばあちゃんのうち、どちらかが課税されている場合→夫婦、事実婚の世帯分離は基本的に難しいです。
預貯金の条件
非課税世帯であれば、申請の条件を満たしたことになるの?
このほか、預貯金の条件があります。
負担段階によって、
単身では500~1000万以下
夫婦では1500万~2000万以下
の条件があります。
非課税世帯であっても、以上の預貯金額を超えている場合、お食事代とお部屋代が安くなりません。
もう少し詳しく知りたい気がするけど…
分かりやすく表にしてもいいのだけど、結局分かりにくくなるんだよね。
だったら、大雑把に、
「非課税世帯」「預貯金の条件」を覚えてもらうほうが、「今」困っている読者さんにはいいのかなと思ったわけよ。
では、ここまでのまとめの意味で、申請のおさらいをしましょう。
申請のおさらい~負担限度額認定申請の流れ~
申請したいおじいちゃんおばあちゃんの預金通帳(最新残高の記帳をする)を持って、市町村役場へ行く
介護保険の窓口で「お食事代とお部屋代が安くなる申請としたい」という。(これで話は通じます)
(念のため、こちらの申請は「負担限度額認定申請」と言います)
❕重要
ここで、「今の状態で、申請ができるのか」と係りの人に聞く(通帳も見せます)。
「できない」理由を確認する。
理由①:課税されている子ども家族と同居している。
この場合は、「世帯分離をすれば、条件に該当するか」と聞いてみる。
もし、世帯分離をすれば、該当する場合は、世帯分離を行い、申請する(これで終了)
理由②:「おじいちゃんおばあちゃんのどちらかが課税されている」場合は、申請できないためここで終了。
とにかく、通帳もって、市町村役場へいけば、なんとかなりそうだね。
通帳は最新の残高の記帳をお忘れなく。
【負担段階表あり】どのくらい安くなるか(負担段階)が決まる
申請が通ると「安くなる段階」が決定します。介護保険業界では、このことを「負担段階」が決まると言います。
負担段階は、負担が軽い順から、以下の5つの段階に振り分けられます。
第1段階→第2段階→第3段階①→第3段階②→第4段階
お部屋代
- 多床室の場合:377円→0円
- 従来型個室の場合:1,668円→490円
- ユニット型個室的多床室の場合:1,668円→490円
- ユニット型個室の場合:2,006円→820円
お食事代
- 食事代(3食):1,445円→300円
お部屋代
- 多床室の場合:377円→370円
- 従来型個室の場合:1,668円→490円
- ユニット型個室的多床室の場合:1,668円→490円
- ユニット型個室の場合:2,006円→820円
お食事代
- 食事代(3食):1,445円→390円
お部屋代
- 多床室の場合:377円→370円
- 従来型個室の場合:1,668円→1,310円
- ユニット型個室的多床室の場合:1,668円→1,310円
- ユニット型個室の場合:2,006円→1,310円
お食事代
- 食事代(3食):1,445円→650円
お部屋代
- 多床室の場合:377円→370円
- 従来型個室の場合:1,668円→1,310円
- ユニット型個室的多床室の場合:1,668円→1,310円
- ユニット型個室の場合:2,006円→1,310円
お食事代
- 食事代(3食):1,445円→1,360円
お部屋代
- 多床室の場合:377円
- 従来型個室の場合:1,668円
- ユニット型個室的多床室の場合:1,668円
- ユニット型個室の場合:2,006円
お食事代
- 食事代(3食):1,445円
第4段階はつまり、「安くならなかった」段階なんだね。
第1段階は主に生活保護の人が該当するところです。
お食事代とお部屋代が発生していますが、「生活扶助」でまかなえるので、実質的な費用負担はないと考えてもいいですね。
第1段階は生活保護の人が条件になっているから、それ以外の人では第2段階が一番安いことになるね。
今日のまとめ
お食事代とお部屋代が安くなるかもしれない申請すなわち「負担限度額認定申請」の申請方法
- 安くなるかもしれない申請は、ショートステイ、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院で利用ができる。
- 安くなるかもしれない申請には、非課税世帯であること、預貯金に条件があることを踏まえて、申請者の収入によって安くなる段階が決まる。
- 息子さん娘さんと同居の場合、世帯分離によって非課税世帯になることができる。
- ご夫婦の場合は、世帯分離はできず、夫婦どちらかが課税されているもしくは、基準以上の預貯金がある場合は申請できない。
- 安くなる段階は、第1段階(生活保護の人)、第2段階、第3段階①、第3段階②の4つ段階があり、何にも該当しない人(安くならない人)は第4段階となる。
実際にお食事代とお部屋代がどれぐらい安くなるか
- こちらに関しては、目次から「【負担段階表】安くなる段階(負担段階)が決まる」に飛んでいただき、アコーディオン表をご覧ください。
いかがでしょうか?「介護とお金」のお食事代とお部屋代が安くなるかもしれない話でした。
今回のメインテーマ「負担限度額認定申請」を利用することで、ご高齢の方の年金の範囲でサービスが利用できる可能性があります。
一方で、負担限度額認定申請の基準は、市区町村によって判定のばらつきがあります。
ですので、通帳を持って市町村役場へ行って、該当するかどうかを直接聞く方法が、簡単で確実な方法になります。
ちなみに…
ちなみに??
この「安くなるかもしれない申請」は医療保険バージョンもあります!
(;゚Д゚)(゚Д゚;(゚Д゚;)ナ、ナンダッテー!!
え、そうなの!それなら入院しても少しは安心だね。
病院でも、介護施設でもお食事代やお部屋代は高額医療費の対象にならないから、この申請は知っておいたほうがいいよね。
最後の最後まで勉強になりました。
次回もお楽しみに。
皆さんのココロが晴れやかになりますように。
そのさ、「安くなるかもしれない」っていうのが、前回から気になるよ。つまり、「安くならないかもしれない」ってことでしょ。