目次
はじめに
「今までは何とか介護ができていたのですが、最近、おばあさんが夜寝ないことが多くなって、寝不足のまま仕事に出ることもあります…本当に疲れます…」
日中のご家族様の不在に対応するだけなら、デイサービスで大丈夫なのですが、夜も見守りが必要な状況になると、デイサービスだけでは足りません。
そこで、ショートステイの出番となります。今回のブログを読んでいただければ、以下のことの理解が深まるでしょう。
ショートステイの役割について
- ショートステイはご家族さんのレスパイトケアの役割があります。
ショートステイを効果的に使う方法とは
- 24時間の様子観察にも適しています。
- 退院後のワンクッションやポータブルトイレ導入などの練習を兼ねた利用なども効果的です。
最近のショートステイの問題点とは
- 最近はコロナ禍を理由にショートをロングで使わないと受け入れてくれない施設もあります。
ショートステイを使いたいけれど、使えない場合は
- ショートは使えないけれどお泊りサービスが必要な方にお泊りデイというグレーなサービスも存在しています
用語の説明やもう少しまとめの内容を詳しく知りたい方は、このままサニーとコロンの話をどうぞ。
ショートステイとは
ショートステイは、介護保険の在宅のサービスの中で、唯一のお泊りのサービスになります。
それは介護保険のサービスであって、サービスでないようなサービスだね。
お泊まりのサービスって、やっぱりあった方がいいの?どういう時に使えばいいの?
見守りは日中ばかりではありません
例えば認知症のあるご高齢の方がいたとします。
日中はご家族様がお仕事だから、ご家族様がいない間、デイサービスを利用するのは、有効な考え方です。
そのご高齢の方が、夜になると寝ないで、食べ物やトイレを探しに歩き回ったりとか、逆に全く動かないで、夜に寝たままおトイレをしてしまい、お布団を汚すようなこともあるかもしれません。
それでは、ご家族様がお仕事で疲れて帰ってきてるのに、休むどころか今度はご高齢の方のお世話になってしまったら大変になります。
確かにそれは大変そうだね。
そういう時のご家族さんの一時的な介護の休息の場としてショートステイがあるんだよ。
ちなみにそのことをレスパイトケアと言ったりするんだ。
….〆(・ω・*)メモメモ ふーん、そうなんだね。
でも要するにデイサービスでさらにお泊まりのサービスもついてるようなサービスなんでしょう?
お値段も結構するんじゃないの?
【料金表】ショートステイの料金の目安
今回の料金は1日分の「短期入所生活介護(ショートステイ)」の料金です。
これからご紹介する金額は、厚生労働省の「介護報酬の算定構造」の単位数をもとに計算したものです。
料金の式は ショートステイの利用料+お食事代+お部屋代+加算(ばらつきがあるため、ここでは500円に統一)で計算しました。
なお、負担段階やお食事代とお部屋代の金額についてはこのブログを参考にしてください↓
要介護1の場合
第1段階:¥1,396
第2段階:¥2,066
第3段階①:¥2,466
第3段階②:¥2,766
第4段階:¥3,396
第1段階:¥2,453
第2段階:¥2,753
第3段階①:¥3,643
第3段階②:¥3,943
第4段階:¥4,784
要介護2の場合
第1段階:¥1,465
第2段階:¥2,135
第3段階①:¥2,535
第3段階②:¥2,835
第4段階:¥3,465
第1段階:¥2,499
第2段階:¥2,799
第3段階①:¥3,689
第3段階②:¥3,989
第4段階:¥4,830
要介護3の場合
第1段階:¥1,537
第2段階:¥2,207
第3段階①:¥2,607
第3段階②:¥2,907
第4段階:¥3,537
第1段階:¥2,563
第2段階:¥2,863
第3段階①:¥3,753
第3段階②:¥4,053
第4段階:¥4,894
要介護4の場合
第1段階:¥1,606
第2段階:¥2,276
第3段階①:¥2,676
第3段階②:¥2,976
第4段階:¥3,606
第1段階:¥2,617
第2段階:¥2,917
第3段階①:¥3,807
第3段階②:¥4,107
第4段階:¥4,948
要介護5の場合
第1段階:¥1,674
第2段階:¥2,344
第3段階①:¥2,744
第3段階②:¥3,044
第4段階:¥3,674
第1段階:¥2,669
第2段階:¥2,969
第3段階①:¥3,859
第3段階②:¥4,159
第4段階:¥5,000
1日から30日までは、上記の金額×日数で計算してください。
「お食事代と部屋代が安くなるかもしれない申請」が使えるんだね。
あれ?「多床室」の料金をよく見てみると、デイサービスよりほんの少し高いくらいで、びっくりするくらいの差はついていないね。
さすがはサニー、よく気づいたね。その通りなんだ。
「お食事代とお部屋代が安くなる申請」が適用されれば、ショートステイの多床室はデイサービスの料金との差を大きく縮めることができるんだよ。
それならお泊まりもできるショートステイの方を使うほうがお得に思えるね。
ショートステイを利用するにはルールがあります。
しかし、ショートステイには色々ルールがあります。
- 30日以上の利用はできません。
- 介護度の認定期間の半分以上をショートステイ利用に使ってはいけません。
これらを無視してしまうと全額自己負担(10割負担)になります。
ショートステイって言うからには短い滞在だもんね。長く使ったらなんかおかしいよね。
ですが、あとからお話しする、ショートステイを「ロングで使う」っていう方法があります。
「ショート」を「ロング」で使うってもはや英語としての意味が成り立ってないね…。
いずれにしてもショートステイはご家族さんが疲れたりとか休みたい時に使うものなんだね。
そういうレスパイトケアとしての使い方も大事な使い方だと思うけれど他にもいい使い方があるんだよ。
( ˘•ω•˘ ).。இ どういう使い方かなぁ…
ショートステイの効果的な使い方
24時間の様子を観察するのに適しています
ショートステイは、24時間ご高齢の方の様子を観察できます。
ご高齢の方は…
- どのタイミングで起きてきて
- 日中はどれぐらい活動をしているか
- 夜はどれぐらい起きているのか
- トイレの間隔はどれくらいか
などが観察できます。
おうちにいると分からないものなの?
例えば生活リズムの把握は、ご高齢の方が、何かの病気で入院して退院が決まった後、すぐにお家に戻ってしまうと、病院の生活から家の生活に突然変わるため、生活のリズムが大きく崩れることが多いです。
そこで病院と家の間にショートステイをワンクッション置くことで、ショートステイの生活を通して、ご自宅の生活を考えて行くことが、穏やかな在宅生活への着地につながります。
たしかに介護職っていうプロの目で見てもらえば、正確に把握できるかもね。
ご家族さんも、ショート利用中、どの部分を見てほしいのか、きちんとケアマネさんやショートステイの職員さんに伝える必要があるますね。
家に帰る前に福祉用具のお試しもする場にも
例えば、入院前におトイレが行けてたご高齢の方が、治療中心の入院生活のため、トイレに行く能力がなくなってしまった場合に、ポータブルトイレという福祉用具を使うという選択をすることもできます。
しかし退院して、突然家に帰った後にポータブルトイレを置かれても、そのご高齢の方は、きっとポータブルトイレを無視してトイレに行こうと思い、転倒してしまう可能性が高いと考えられます。
そのため、退院後のワンクッションとして、ショートステイを利用して、ポータブルトイレの練習をしてからお家に帰るという方法もあります。
φ(・ω・`)ナルホド おうちでの生活をより良くするための試行錯誤の場所としても使うことができるんだね。
ショートステイの使いにくいところ
ショートステイは、ずいぶん便利なサービスだね。
デイサービスと4の金額差を考えれば、介護保険のサービスは、ショートステイだけでも良さそうな気がするよね。
そんなことを言ってしまったら、「介護のサービス=施設に預けちゃうサービス」になるでしょう。
ショートステイは在宅介護のサービスなので、あくまでも在宅生活を中心に考えて使うものになります。
- 退院後のワンクッションの役目
- ご家族さんのレスパイトケアの役目
を考えれば、ショートステイの役割はあくまでも在宅介護ということになるもんね。
ところが、ご家族様の中にはそこまでの理解はなく、ショートステイを「ただ預けちゃうサービス」だと思って使う人も結構いるのも事実です。
ショートなのに、ロング??
ただ預けちゃうサービスにならないように、認定期間の半分以上は使っちゃダメなルールや30日ルールがあるんだね。
認定期間の半分以上は使ってはいけないルールは、ケアマネジャーが半分を超えても利用が必要であることを市区町村に申請すれば、利用できます。
30日ルールの方は、31日目は確かに10割の自己負担になりますが、32日目は一旦自己負担を挟んだからショートステイの連続利用が解除されて、また1日目のカウントに戻ることになっています。
そのよく分かりにくい30日システムを回避できる方法ってないの?
30日になる前のどこかの時点で2泊3日ご自宅に帰ることができれば、ケアプラン上の連続利用は途切れます。
連続使用が途切れれば、また改めて1日目からカウントとなります。
つまり、31日目の自己負担というのは、30日目に強制的に家に帰ってもらって、一泊どこかで過ごしてもらうつもりで連続利用を一度切るというようなイメージなんだね。
一泊どこかでっていうのが、結局同じショートステイになるから、10割の自己負担が発生するっていうことなんだね。
詳しくは、ショートステイのロング利用のブログをご覧ください。
出たな。英語の意味を謎の解釈で日本語にしてしまう日本人らしい使い方だね。
さすがにショートなのにロングでっていう言い方に抵抗がある事業所は、ショートを「ミドルで使う」っていうところもあるよ。
(;´・ω・)ウーン・・・ こちらに関してはもはや解釈不能だね。
ロングという言葉を避けたい気持ちはわかるけれどもはや英語の意味としては崩壊しているね。
それはさておき、このような使い方をしていたらほぼほぼを施設に入所しているのと同じなんじゃないの?
ずっと施設で過ごすという意味では、入所しているのと変わりありません。
違いを挙げるとすれば、
- ケアマネさんは契約している在宅のケアマネジャーさんのまま。
- 病院を受診する際にはご家族様に一緒に行ってもらう。
- 普段飲んでいるお薬も本人やご家族様にとってきてもらう。
- もし急に具合が悪くなって救急車で搬送される場合もご家族様に来てもらう。
- 治療家医学的な処置が必要な場合はガーゼや薬などの道具は全部ご家族様に準備してもらう。
このような部分が大きな違いです。
そうなんだね。施設で預かってもらっているけれども、
- 病院に関すること
- 薬に関すること
これらは基本的にご家族さんにお願いするんだね。
ショートステイが在宅のサービスっていうことを考えれば確かにそうだなって思うでしょう。
うん、まあ、確かにそうだね。
同じ施設にいながらも施設の入所者とショートステイの利用者さんは違うものなんだね。
少し使い勝手も悪く感じるけれどもこのロングの使い方というのも需要があるものなの?
コロナ禍ではこんな残念なシステムが当たり前に…
ご家族様の介護負担が大きくなってきた時に、
- もう家では介護ができない
- 施設の順番待ちを待っていられるほどの余裕はない
そういった時の助け舟になるサービスです。
ところが最近残念なことがあります。
コロナ禍で、施設側がショートステイの出入りを強制的になくすために、「ロングの利用」だけに限定してショートステイを利用させるという残念な施設もあるのです。
高齢者施設のクラスターを防ぐために、出入りを防ぎたいという気持ちは分かるけれど、在宅介護の本来の意味を損なうような使い方っていうのは本当に残念だね。
施設側はロングで使ってもらう方が、収入が安定します。
だから、コロナが落ち着いたあと、以前の通りの使いたいときに使えるサービスに戻せるかどうかは、その経営者側の度量によると思うよ。
経営も大事だけれど、人としての正しい判断も忘れないでほしいものだね。
どんなショートステイがあるのか、リサーチしてみましょう。
これまでのお話を参考に、お住まいの地域ではどのようなショートステイがあるのか調べてみましょう。
厚生労働省のWAMnetを利用しましょう。
少し細かい設定が必要だけど、厚労省関連のサイトなので、確実ですね。
介護保険関係の情報には、行政(市町村)の情報であっても古いものが多いです。
「WAMnet」は、介護保険のサービスだけではなく、介護保険以外の様々な福祉関連の情報が盛りだくさんなので、興味のある方は調べてみてください。
WAMネットの使い方を紹介した回がありますので、こちらを参考に使ってください。
お泊まりデイとは
ショートステイはいつでも使えるサービスなの?
ショートステイに空床があればね。
もし満床だったら使えないの?
廊下に寝てもらうわけにはいかないからね。使えません。
じゃあさっきの話のショートステイの部屋をすべてロングで使った施設の場合、そのショートステイはずっと使えないっていうことなんだね。
そうなんだよ。そこがコロナ禍におけるショートステイ利用の問題点だね。
それでは、本当にショートステイが必要で使いたい人には困った状況になるね。
そのための抜け道の一つになっているのはお泊りデイなんだよ。
お泊りデイってそもそも何なの?
普通に行政から認可を受けた通所介護事業所(デイサービス)ですが、日中の通所介護のサービスに加えて、大体1000円から1500円ぐらいでお泊まりもさせてくれるというサービスです。
その金額で泊まれるならお得なような気はするけれど…
金額は確かに魅力的ですが…
- 夕食は冷凍のお弁当だったりする。
- 夜はデイサービスと同じフロア内に、折りたたみベッドを敷き詰めて、ざこ寝のように寝て泊まる。
- 次の日の朝はまた冷凍のお弁当だったりする。
- 日中は普通の通所介護のサービス。
- また夜を迎える(①にもどる)。
このような生活のループがずっと続きます…
このサービスはデイサービスの業者さんやおじいちゃんおばあちゃんにメリットはあるの?
デイサービスの業者はお泊まりのサービスで儲けようとは思っていません。
あくまでも保険の適用となる日中の通所介護を毎日使ってもらうことが目的で使ってもらっています。
ご高齢の方のメリットというよりは、ご家族様はどこかで預かってもらえるて、なおかつ夜は格安で泊めてもらえるというところにメリットはあるでしょう。
内容は別としてですが…
でもそのような実態で行政は黙っていないの?
お泊りデイはそもそも介護保険法で認められていないサービスですが…
ショートステイの空きが無いけど、お泊まりのサービスの必要なご高齢の方はいます。
そのような方の駆け込み寺的なサービスになっています。
ですので、行政も把握はしてるけれども、しっかりと取り締まってしまえば、お泊りサービスが必要なご高齢の方の受け皿が、なくなってしまうことにつながるから、腰をあげようとはしません。
グレーの位置にあるサービスなんだね。
中身を知ってしまうと使うのに戸惑いもあるけれど、いざという時には、知っておいた方が良いサービスかもしれないね。
今日のまとめ
ショートステイの役割について
- ショートステイはご家族さんのレスパイトケアの役割があります。
ショートステイを効果的に使う方法とは
- 24時間の様子観察にも適しています。
- 退院後のワンクッションやポータブルトイレ導入などの練習を兼ねた利用なども効果的です。
最近のショートステイの問題点とは
- 最近はコロナ禍を理由にショートをロングで使わないと受け入れてくれない施設もあります。
ショートステイを使いたいけれど、使えない場合は
- ショートは使えないけれどお泊りサービスが必要な方にお泊りデイというグレーなサービスも存在しています
ショートステイを嫌がる人について
ショートステイは施設に泊まるサービスだから、入所って感じてしまうおじいちゃんおばあちゃんはやっぱりいると思うんだ。
そのようなおじいちゃんおばあちゃんの気持ちのハードルを下げる方法って何かないのかなあ?
おすすめなのが、特に必要じゃない時に、一泊二日だけ泊まってみるというのがいいと思うよ。
どうして一泊二日だけのお泊りがいいの?
次の日に必ず帰れるって言うだけでまず安心します。
施設の職員さんも一泊だけでもその人が泊まれば記録に残るから、もし次に本当に必要な時に利用するとしても受け入れがスムーズになるんだ。
なるほどね一泊でも泊まればどういうところか分かるし、本当に必要な時に前に泊まったところなんだなって分かれば、嫌がることは少ないね。
在宅で介護をするご家族さんには、骨休めとして必要なサービスになるから、ショートステイも上手く使いながら、おじいちゃんおばあちゃんを家で見ていてくれるといいね。
いかがでしたでしょうか?今話が出ていた、ショートステイを嫌がる人については、また別のブログで書いていきたいと思います。
今回のブログで、ショートステイを利用して、気持ちをうまくコントロールして在宅介護を続けていただければと思います。
皆さんの心も晴れやかになりますように。
あれ、でも「お泊まりデイ」って聞いたことあるよ。