【介護タクシーとは?】退院時に困らないための基礎知識と使い方

「退院するときは、介護タクシーを使ってください」

と病院で言われた・・・

介護タクシーって何?

料金はどれくらい?

どうやって頼むの?

サニーデイ

介護タクシーって、そんなの急に言われても困るよ…

サブレ

でも、そう言われているのだから頼むしかないよね…

ケアマネをしていると、この「介護タクシー」についての問い合わせは、たまにあります。

そこで、今回は介護タクシーについて、基本情報や料金の目安、そして利用方法のコツをわかりやすく解説します。

この記事を読めば、急な状況でも戸惑わないようになるでしょう。

この記事は、主任介護支援専門員の資格を持つ現役ケアマネジャーが執筆しています。在宅介護でお悩みの方に信頼できる情報をお届けすることを目的としています。

1. 介護タクシーとは?

介護タクシーは、高齢者や身体に障がいのある方が安心して移動できるよう設計されたタクシーです。

一般のタクシーとは異なり、以下の特徴があります。

  • 車椅子のまま乗車可能:車椅子からの移乗が難しい方でも、そのまま乗車できます。
  • 介護の専門スタッフがサポート:乗降時の介助や目的地での付き添いなど、専門的なサポートを受けられます。多くの場合は介護の資格を持ったドライバーがサポートします。
  • 特殊な車両設備:ストレッチャー(寝たまま乗れる設備)を備えた車両もあり、医療的なニーズにも対応可能です。

利用シーンの例

  • 退院や通院:病院から自宅、または別の医療施設への移動。
  • 冠婚葬祭への参加:特別な行事への出席時。
  • 買い物や外出:日常的な外出やレジャーの際。
サブレ

車椅子のまま乗車ができるのはいいよね!

2. 普通のタクシーとの違い

項目介護タクシー普通のタクシー
車両設備車椅子やストレッチャー対応の特殊車両一般的な車両
サービス内容乗降時の介助、目的地での付き添い基本的な乗車サービスのみ
料金体系運賃 + 介助料や機材使用料メーター料金のみ

つまり、介護タクシーなら車椅子やストレッチャーのまま安全に移動できます。

一方、普通のタクシーではこのようなサポートは基本的に提供されません。

サニーデイ

サポートが手厚いぶん、料金が増えているんだね。


3. 介護タクシーの料金について

料金の内訳

介護タクシーの料金は、以下の要素で構成されます:

  1. 運賃:一般のタクシーと同様、距離や時間に応じて料金が発生します。例えば、東京都内では初乗り2kmで900円、その後240mごとに100円が加算される設定があります。
  2. 介助料:乗降時のサポートや付き添いに対する料金です。基本介助料が無料~1,000円、室内介助料が500円~1,000円といった設定があります。
  3. 機材使用料:車椅子やストレッチャーを利用する場合の追加料金です。車椅子使用料が無料~500円、ストレッチャー利用が1,000円~4,000円とされています。
  4. 追加料金:予約料や待機料、深夜・早朝の割増料金などが該当します。例えば、予約料が300円程度、待機料が10分で500円程度の設定があります。

料金例

「病院から自宅まで10km、車椅子利用、10分待機」の場合:

  • 運賃:約5,000円(10km)
  • 介助料:1,000円(付き添い)
  • 車椅子使用料:500円
  • 待機料:500円(10分)

合計:約7,000円

金額の根拠:これらの料金は、介護タクシーの料金体系を解説する以下のサイトに基づいています。

※これらの料金は一例であり、地域や事業者によって異なる場合があります。事前に見積もりを取ることをおすすめします。

サニーデイ

やっぱり高いよね…かと言って退院の時に自分の車に乗せることができないと思えば、頼むしかないもんね…

サブレ

退院という特別な状況だし、まずは移動しないとだめな状況だから、あまり気にせず使ってしまう方が多いようだよ。


4. 介護保険の適用について

適用される場合

要介護認定を受けている方が、ケアプランに基づき通院など必要な外出をする際に利用する場合、介護保険が適用されることがあります。

この場合、介助料の一部が保険で賄われ運賃は自己負担となります。

:通院時の介護タクシー利用

  • 介助料:1,000円 → 保険適用で500円負担
  • 運賃:3,000円 → 全額自己負担

適用されない場合

  • 対象外のケース:認定を受けていない方や、買い物、旅行など自由な外出には適用されません。
  • 費用:全額自己負担となります。

介護保険が使えるかどうかは、ケアマネジャーや事業者に確認することをおすすめします。

サニーデイ

えっ?ちょっとまって!介護保険が使えるかどうかって、「介助料」だけなの?

運賃(メーター 料金)は、払わないとダメなの?

サブレ

はい、介護保険を使っても、基本的にメーター料金は普通に払うんだよ。

そうなんです。そもそもメーター料金は普通に取られるため、介護保険利用のメリットはほとんどありません

この事実をご家族様に話すと、毎回驚かれます。

実際、利用する場合では

病院の相談員

「介護タクシーを頼んでください」

と急に言われることが多いため、利用の際には、介護保険のことは考えなくてもよいでしょう。


5. 便利な配車アプリもあります

最近では、介護タクシーを簡単に予約できるスマートフォンアプリも登場しています。これらのアプリを使えば、忙しい時でも手軽に予約ができ、利用までの手間が大幅に減ります。

1. よぶぞー

  • 特徴:簡単操作で介護タクシーを予約可能。事前登録した情報でスムーズに利用できます。
  • 対応エリア:東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫など。
  • 便利な点:過去の利用履歴を活用して、次回予約が簡単に行えます。
  • 公式サイトよぶぞー公式ページ

2. i-CareGO

  • 特徴:病院からの退院や施設間移動など、幅広いニーズに対応可能。予約時に概算料金も確認できます。
  • 対応エリア:主に神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県などでサービス提供中。
  • 便利な点:条件に合った介護タクシーを見つけやすい仕組み。
  • 公式サイトi-CareGO公式ページ

アプリの利用が向いている方

  • 初めて介護タクシーを利用する方。
  • 細かい条件を事前に設定したい方。
  • 手軽に複数の事業者を比較したい方。

※アプリの対応エリアは地域によって異なるため、利用前にエリア確認を行ってください。

サニーデイ

介護タクシーは頻繁に使うもんではないから、アプリがどれくらい有効かわからなけど、便利でいいね。

6. 介護タクシー利用の流れ

1. 病院やケアマネジャーに相談

退院時や通院時には、病院スタッフやケアマネジャーに相談するのが最も確実です。

信頼できる事業者を紹介してもらえます。

2. 配車アプリやインターネットで探す

「地域名+介護タクシー」で検索するか、先ほど紹介したアプリを活用するとスムーズです。

3. 予約と確認

希望日時、目的地、利用者の状態(車椅子利用など)を伝えて予約します。
事前に料金の見積もりを確認するのが安心です。

あるご家族

相談や見積もり、予約はちょっと面倒だな…

退院時というのは意外と慌ただしいので、こうお考えの方も経験上結構います。

もし、考えるのが疲れていて面倒だなとお感じの場合は、料金をあまり気にしないのなら(そんなに極端に差はありませんので)病院スタッフか、ケアマネにそのまま「全て丸投げ」でも大丈夫です。

7. 注意点と利用のコツ

事前予約がおすすめ

急な依頼では対応できない場合もあるため、計画的に予約しましょう。

料金やサービスを比較する

複数の事業者で見積もりを取り、料金やサービス内容を比較すると納得して利用できます。

キャンセルポリシーを確認

予約時にキャンセル料や変更時の対応を確認しておくと安心です。

【超重要】サービス終了の確認

普通のタクシーと違い、タクシーから降車したら、勝手に終了ではありません。介護タクシーは、「乗車」「降車」がサービスの開始と終了ではなく、予約した「時間帯」で料金が発生します。

つまり、予約した時間帯の中で、目的地に到着して降車をしても、サービスを終了させない限り、予約の時間帯 中は、ずっとメーター 料金が発生し続けます。

そのため、目的地に到着して、「降車したらサービスを終了します」とか、「到着して施設の職員が引き継いだら終了します」など、きっちりとどうすれば終了(メーター料金の終了)を決めるようにしましょう。

おわりに

介護タクシーは、移動が難しい方やそのご家族にとって心強いサポートとなるサービスです。

退院や通院だけでなく、日常のお出かけにも利用でき、生活の質を向上させる手助けとなります。

以下のことを考慮の上、ご利用ください。

  1. 車椅子やストレッチャーでの移動が可能。
  2. 料金は運賃+介助料+機材使用料で構成される。
  3. サービスの終了はしっかり決めておく。
サブレ

この記事を参考に、安心して介護タクシーを利用してくださいね!

番外編:ここまで説明しておいて・・・

とはいえ、介護タクシーって高いですよね。

サニーデイ

普通のタクシーだって高いのに、さらに、介助料や車椅子代っぽいのもあるから、更に高いよ・・・

介護タクシーの利点は、車椅子やストレッチャーのまま乗ることができる点でした。

しかし、なんとか介護の力でご家族様の車に乗せることができれば、タクシーなんてそもそも必要ありません。

ですので、ケアマネ的にはまず、介護の力で車に乗せることを考えます。

病院や施設では、職員の手を借りればなんとかなります。

あとは自宅での車の乗降さえできれば良いのです。

サニーデイ

どうすればいいのかな・・・あ、ヘルパーさんを使うの?

ホームヘルパーを使えば、タクシー代よりもはるかに安い費用で、乗り降りできます。

サブレ

ホームヘルパーについては、こちらのブログを参考にしてくださいね↓

サニーデイ

あとはなにかあるの?

私が、ご家族様に乗り降りの介助方法をお伝えしたり、その時だけ、家族の手を増やしておいて、なんとか乗り降りしたり、などなどで対応することもあります。

サニーデイ

まさか、最後にタクシーをなるべく使わない方法の話になるとは・・・

サブレ

ですが、タクシーを選択するほうが、安全で安心ですけどね。

サニーデイ

まあ、いろいろ方法はあるってことなんだね。今回も勉強になりました。

在宅介護をがんばる皆さまのココロが晴れやかになりますように。

ABOUT US
福行(現役の主任介護支援専門員)
介護業界29年目の現役の主任介護支援専門員です。 介護福祉士を20年、ケアマネジャーは9年目です。
これまでのケアマネジャーの経験から、ビジネスケアラーとして遠距離介護や在宅介護を頑張る皆さま、介護保険サービスの使い方や将来の介護に不安を感じる方のために参考になるブログを書いています。
ブログの内容は、担当するご家族様から頂くたくさんの質問のなかで、特によく聞かれる質問をもとに、介護保険制度やサービスの使い方について分かりやすく解説しています。