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はじめに:介護費用への漠然とした不安
「在宅介護の費用は一体どれくらいかかるのだろう?」
親が高齢になり、介護が必要になるかもしれないと感じたとき、不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、在宅介護の費用について、具体的な数字を交えながらわかりやすく解説します。
ただし、ここでご紹介する金額はあくまで目安であり、実際の費用はサービス内容や事業所によって異なります。
詳しい金額を知りたい場合は、お近くのケアマネジャーやサービス提供事業所にお問い合わせください。
1. 介護費用は本当に高いのか?
「月20万円もかかる?」という誤解
よく耳にするのが、「介護施設に入るには月に20万円ほど必要」という話です。
確かに一部の高級な有料老人ホームなどの民間施設ではそのくらいの費用あるいはもっとがかかりますが、在宅介護の場合は事情が異なります。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの費用の構造が知りたい方は、こちらをご覧ください。
2. 介護保険の仕組みと費用計算の難しさ
介護保険制度では、サービス利用の費用が「単位」で表され、3年に1回見直されます。
また、地域や事業所によっても費用が異なるため、統一した金額を提示するのが難しいのが現状です。
確かに、何を基準にすべきか、わからないね。
さらに、介護保険サービス全般には「加算」という仕組みがあります。
加算とはいわゆる追加サービスのことです。サービス内容や提供する事業所によって追加料金が異なります。
そのため、実際のお支払い金額は各事業所によって変わってきます。
3. 在宅介護の自己負担額(1割負担の場合)
介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1割、2割、3割です。
多くの高齢者は1割負担となっています。以下は、1割負担の場合の月額自己負担額の目安です(端数は繰り上げています)。
要介護度 | 月額自己負担額の目安 |
---|---|
要支援1 | 約5,500円 |
要支援2 | 約10,600円 |
要介護1 | 約16,800円 |
要介護2 | 約20,000円 |
要介護3 | 約27,500円 |
要介護4 | 約31,500円 |
要介護5 | 約36,500円 |
注意:上記の金額は、介護サービスを最大限利用した場合の自己負担額です。実際には、必要なサービスだけを利用するため、自己負担額はこれより少なくなることが一般的です。
詳しい金額については、こちらをご覧ください。
4. サービス利用時の追加費用
ここでは、よく使われる、デイサービスとショートステイを例として取り上げます。
デイサービス(通所介護)の場合
- 昼食・おやつ代:約800円/回
デイサービスを利用する日は、この食費が追加でかかります。
ただし、「入浴加算」や「個別機能訓練加算」などの加算があり、事業所によって費用が異なります。
詳しくは、こちらのブログを御覧ください。こまかな金額まで掲載しました。
ショートステイ(短期入所)の場合
- 食事代(1日3食):約1,300円/日
- 宿泊費:約2,000円/泊
ショートステイを利用する日数分、これらの費用が追加されます。
こちらも「夜勤職員配置加算」などの加算があり、事業所によって費用が変わります。
詳しくは、こちらのブログを御覧ください。こまかな金額まで掲載しました。
5. 生活費を含めた全体の費用イメージ
生活費が約10万円になる理由
一般的に、一人暮らしをする場合の生活費は月に約16万円ほどかかると言われています。
この中には、家賃、食費、水道光熱費、通信費、日用品費などが含まれます。
ライフネット生命のコラム『一人暮らしの生活費の平均は?内訳と目安を解説』によれば、60歳以上の一人暮らしの平均的な生活費は約15万円とされています。
しかし、多くの高齢者は持ち家に住んでいるケースが多いため、家賃を支払う必要がありません。家賃分を差し引くと、生活費は約10万円程度になります。
総費用の目安
総費用 = 介護サービス自己負担額 + 追加サービス費用 + 生活費(約10万円)
6. 具体的な費用例で見るリアルな数字
注意:以下の費用例はあくまで目安です。実際の費用はサービス内容や事業所によって異なりますので、詳しくはケアマネジャーや各事業所にご確認ください。
ちなみに、同居されているの場合は「生活費」も差し引いてください。
ケース1:要介護1、週2回デイサービス利用
- 基本の自己負担額:約10,000円
- デイサービス追加費用:
- 800円/回 × 8回(週2回 × 4週)=6,400円
- 生活費:約100,000円(家賃を除く)
- 総費用:
10,000円 + 6,400円 + 100,000円 = **116,400円**
ケース2:要介護3、週3回デイサービス・月4泊ショートステイ利用
- 基本の自己負担額:約20,000円
- デイサービス追加費用:
- 800円/回 × 12回=9,600円
- ショートステイ追加費用:
- (1,300円 + 2,000円)× 4泊 =13,200円
- 生活費:約100,000円(家賃を除く)
- 総費用:
20,000円 + 9,600円 + 13,200円 + 100,000円 = **142,800円**
ケース3:要介護5、週5回デイサービス・月10泊ショートステイ利用
- 基本の自己負担額:約30,000円
- デイサービス追加費用:
- 800円/回 × 20回=16,000円
- ショートステイ追加費用:
- (1,300円 + 2,000円)× 10泊 =33,000円
- 生活費:約100,000円(家賃を除く)
- 総費用:
30,000円 + 16,000円 + 33,000円 + 100,000円 = **179,000円**
このように見ていくと、生活費が占める割合が大きいから、介護費用がかかるように見えるんだね。
7. 費用負担を軽減する方法
公的支援を活用する
- 減免制度や補助金:市区町村によっては、介護費用の負担を軽減する制度があります。役所で確認してみましょう。
詳しくは、こちらのブログを御覧ください。
特別養護老人ホーム(特養)の利用
- 多床室(相部屋)を選ぶと費用を大幅に抑えられます。
- 食事代・部屋代の減免申請:申請によりさらに費用を軽減できます。
特養の話の回で出てきたよね。
資産の有効活用
- 持ち家の売却やリバースモーゲージ:資産を介護費用に充てる方法もありますが、慎重な検討が必要です。
リバースモーゲージは、一見良さそうな制度だけど、あくまでも自宅を担保にした「借金」であるので、注意してね。
ご本人の年金や貯蓄を確認
- 年金収入:遺族年金などで収入が増える場合も。
- 貯蓄の活用:ご本人の貯金や退職金があれば、不足分を補えます。
年金がどれくらいもらえるのかで、方向性も変わるからね。
8. まとめ:知っておくことで安心できる介護費用
在宅介護の費用についておわかりいただけたでしょうか。
これらを踏まえて、在宅介護の総費用を計算すると、必要な準備が見えてくるでしょう。
正確な費用を知るためには、ケアマネジャーさんやお近くの居宅介護事業所にお問い合わせください。専門家に相談することで、最適な介護プランを立てることができます。
介護費用への不安を減らし、安心して介護に臨むことができるね。
この記事が、皆さまの介護費用に対する不安を解消する一助となれば幸いです。正しい情報を把握し、安心して介護に取り組みましょう。
※このブログでご紹介した費用はあくまで目安です。実際の費用はサービス内容や事業所によって異なります。詳しい金額を知りたい場合は、お近くのケアマネジャーや地域包括支援センターにお問い合わせください。
介護のお金がどれくらいかかるか心配な皆様のココロが晴れやかになりますように!
特に、親が十分な貯蓄を持っていない場合は、費用面での心配は深刻だよ。