【減算も解説】ショートステイのロング利用

はじめに~ショートステイのロング利用~

「入所順がいつ回ってくるのか分かりません。もう限界です・・・家ではもう介護することができません」

これまで頑張って来られたご家族様、「限界」という声が出てきてしまうくらい、本当に今が苦しいですね・・・

今回お伝えする内容は、ショートステイの利用方法のひとつ、「ロング」という使い方についてです。

要は、ショートステイをずっと使うというサービスです

記事を読むことで、ショートステイのロング利用の方法が分かり、そのサービスを利用することで介護の負担が軽減できる可能性があります

なぜなら、ショートステイのロング利用で、ご家族様は介護から一時的に解放され、体力も気持ちも回復できる時間にあてたり、その間も入所を待つことができるからです。

サニーデイ

それは助かるね!

コロン

今回は第1部で問い合わせが一番多かった、ショートステイの「ロング」利用についてです。

ロング利用では必ず出てくる「減算」についても分かりやすく解説します。

  • ショートステイのロング利用とは

ショートステイを利用して、途中に自宅に帰ることなく(または2泊3日は帰宅)、ずっと使い続けることを言います。
ロングで使うとか、ロングショートステイ、ミドルステイなどとも言われます。

  • 30日を超えるとどうなるの?

31日目は、全額10割の自己負担のショートステイ利用になります。
32日目は、また1日目のカウントで次の30日目まで介護保険のショートステイサービスを利用できます。

  • 30日目を超えると始まる「減算」とは

31日目から、毎日300円の減算がショートステイ側に発生します。
見かけ上、ショートステイ側が毎日300円損しているように見えますが、実際は、30日目の全額自己負担の日に10割負担分の利用料金を頂いているので、損はしていません。

  • ショートステイのロング利用の料金は?

ブログの途中で出てきた料金を参考にしてください。
尚、要介護1や要介護2では、限度額オーバーが発生しますので、注意して下さい。

ショートステイをロングで利用する

ショートステイは、施設に短い期間お泊りをするサービスです。

その間に介護をがんばるご家族様は、普段はできない用事をこなしたり、休養などでリフレッシュできます。

そのショートステイを、終了することなく、ずっと使い続ける利用方法を「ロング」利用、または「ミドル」利用と呼ばれています。

サニーデイ

「ショート」なのに、ずっと利用できる方法があるんだね。

1日の利用料金はどれくらいかかるの?

料金の計算は少しわかりにくいので、1日と30日以降で見ていきます。

1日から30日までは、

1日分の利用金額×日数

で計算した金額を参考にしてください。

なお、ここで、「第〇段階(負担段階のこと)」とか、「多床室の料金」や「ユニット型個室の料金」などが出てきます。

わからない用語や、計算根拠については、以下のブログを参考にしていますので、ご覧ください。

これからご紹介する金額は、厚生労働省の「介護報酬の算定構造」の単位数をもとにお部屋代と食事代、概算で500円を「様々な加算」として計算したものです。

要介護1の場合

第1段階:¥1,396

第2段階:¥2,066

第3段階①:¥2,466

第3段階②:¥2,766

第4段階:¥3,396

第1段階:¥2,453

第2段階:¥2,753

第3段階①:¥3,643

第3段階②:¥3,943

第4段階:¥4,784

要介護2の場合

第1段階:¥1,465

第2段階:¥2,135

第3段階①:¥2,535

第3段階②:¥2,835

第4段階:¥3,465

第1段階:¥2,499

第2段階:¥2,799

第3段階①:¥3,689

第3段階②:¥3,989

第4段階:¥4,830

要介護3の場合

第1段階:¥1,537

第2段階:¥2,207

第3段階①:¥2,607

第3段階②:¥2,907

第4段階:¥3,537

第1段階:¥2,563

第2段階:¥2,863

第3段階①:¥3,753

第3段階②:¥4,053

第4段階:¥4,894

要介護4の場合

第1段階:¥1,606

第2段階:¥2,276

第3段階①:¥2,676

第3段階②:¥2,976

第4段階:¥3,606

第1段階:¥2,617

第2段階:¥2,917

第3段階①:¥3,807

第3段階②:¥4,107

第4段階:¥4,948

要介護5の場合

第1段階:¥1,674

第2段階:¥2,344

第3段階①:¥2,744

第3段階②:¥3,044

第4段階:¥3,674

第1段階:¥2,669

第2段階:¥2,969

第3段階①:¥3,859

第3段階②:¥4,159

第4段階:¥5,000

コロン

1日から30日までは、上記の金額×日数で計算してください。

ショートステイ利用30日を超えると始まる「減算」

ショートステイ利用「31日目」の考え方

ショートステイ連続利用31日目はいわゆる「自己負担の日」とか「自費の日」と呼ばれています。

サニーデイ

ずっと同じ場所でサービスを受けているのにどうして31日目は自己負担(つまり10割負担)の日になるの?

ショートステイは、要介護認定を受けたご高齢の方が、在宅生活を維持するため、ご高齢の方の心身機能の維持または在宅介護生活の向上とご家族様の身体的・精神的負担の軽減を図るためのサービスです。

その目的から、長期利用が必要となる場合には、利用日数に制限等が設けられています。

コロン

ショートステイは基本的に「居宅(在宅)サービス」に位置付けられています。

在宅のサービスなのに、家に帰らず、1か月まるまる施設で過ごすって、なんかおかしいでしょ。

サニーデイ

ちなみにその31日目つまり「自己負担の日」はお食事代とお部屋代も安くならないの?

残念ながら、31日目(自己負担の日)に関しては、お食事代とお部屋代が安くなりません。

つまり、31日目は負担限度額が「第4段階」のカウントです。

コロン

まとめると

1~30日まで→ショートステイでお泊り

31日目→(家からやってきたていで、ただの10割負担お泊り)

32日目→(31日目は家からやってきたから)連続利用はなくなったため、32日目から「1日目」のカウントになる。

ということになります。

30日を超えると始まる減算

30日を超えると「短期生活長期利用者提供減算」と呼ばれる減算が始まります。

減算は-30単位(大体-300円)減算です。

サニーデイ

(o・ω・o)?? -300円って、誰が損して、誰が得するの?

コロン

ショートステイの施設利用料金が-300円になるので、おじいちゃんおばあちゃんが300円得します。

サニーデイ

施設側が損をするなら、ロングを受け入れたくないんじゃないの?

コロン

でもサニー、この表を見てよーく考えてみて・・・

サニーデイ

うーん・・・

(゚д゚)ハッ!!

あ、最初に自己負担で9000円払っているから

施設は+9000円

おじいちゃんおばあちゃんは-9000円

だけど、そこから減算が始まるから、1日当たり…

施設が-300円

おじいちゃんおばあちゃんは+300円

そこから次の30日まで続くのだから、積もりに積もって、

施設が-9000円

おじいちゃんおばあちゃんは+9000円

になるから、結果的に「とんとん」になるんだね。

コロン

そのとおり、結局自己負担分を30日かけて取り戻しているので、施設もおじいちゃんおばあちゃんもどちらにも大きな負担になってないんだよ。

まあ、お食事代やお部屋代も加わると、自己負担分のほうが多くなってしまうのだけれどね…

これらを踏まえて、31日目以降の料金を示します。

【重要】31日目以降のショートステイ(短期入所生活介護)の料金

これからご紹介する、31日目以降の料金は、以下の式で導いた金額です。

なお、「短期入所生活介護」を例として取り上げています。

計算根拠

例えば要介護1でひと月が31日の場合

30日分の利用料(食費 居室代込み)
1日分の利用料を✕30日…①

30日を超えた時から始まる減算
30日×(-300)…②

限度額オーバーの場合
(1日の基本単位数×30日)-(介護保険の使えるお金)…③(10割負担)

30日を超えた翌日(1日分)の自己負担
596×10+500+1445+855…④(10割負担)

(①+②)+(③+④)

今から出てくる金額は、おおよその目安としてご覧ください。地域や利用する施設によってばらつきはありますが、十分参考にしてよい金額です。

第1段階の方の場合は…

なお第1段階は、主に生活保護の方が対象になる段階です。

生活保護の場合は、利用料は介護扶助(介護券)で、食費とお部屋代は生活扶助でまかないますので、基本的にお支払いは発生しません。しかし月々生活保護課から発行される、介護券に示されている金額はお支払いの必要があります。

介護券で示される金額は、生活保護利用者ひとりひとり全く異なりますので、このブログではお示しできません。したがって、第1段階の金額は割愛します。

要介護1の場合(限度額オーバーあり)

第2段階:¥64,280+11,150

第3段階①:¥76,280+11,150

第3段階②:¥84,510+11,150

第4段階:¥104,180+11,150

第2段階:¥86,041+41,150

第3段階①:¥112,741+41,150

第3段階②:¥121,741+41,150

第4段階:¥146,971+41,150

要介護2の場合(限度額オーバーあり)

第2段階:¥66,350+2,450

第3段階①:¥78,350+2,450

第3段階②:¥87,350+2,450

第4段階:¥106,250+2,450

第2段階:¥87,421+32,150

第3段階①:¥114,121+32,150

第3段階②:¥123,121+32,150

第4段階:¥148,351+32,150

要介護3の場合

第2段階:¥68,510

第3段階①:¥80,510

第3段階②:¥89,510

第4段階:¥108,410

第2段階:¥89,341

第3段階①:¥116,041

第3段階②:¥125,041

第4段階:¥150,271

要介護4の場合

第2段階:¥70,580

第3段階①:¥82,580

第3段階②:¥91,580

第4段階:¥110,480

第2段階:¥90,961

第3段階①:¥117,661

第3段階②:¥126,661

第4段階:¥151,891

要介護5の場合

第2段階:¥72,620

第3段階①:¥84,620

第3段階②:¥93,620

第4段階:¥122,520

第2段階:¥92,521

第3段階①:¥119,221

第3段階②:¥128,221

第4段階:¥153,451

サニーデイ

( ˙࿁˙ )ポカーン

限度額オーバーってなに?

なんで、要介護1と要介護2の場合が高くなっているの??

コロン

要介護1の場合、ショートステイをロング利用してしまうと、「介護保険の使えるお金」の関係上、どうしても「使えるお金の枠」を超えてしまい、足が出てしまうからだよ。

(これを業界用語で「限度額オーバー」と言います)

要介護2の場合でも同じです。

要介護3からは、使えるお金の範囲内に収まるようになります。

「使えるお金」についてのお話は、こちらのブログを参考にしてください。

【重要】「多床室」のあるショートステイはどこにあるの?

サニーデイ

ショートステイのロング利用の場合は「多床室」のあるショートステイを選んだほうがいいね。

コロン

金額差を考えれば、そうなるね。

サニーデイ

多床室のあるショートステイはどこにでもあるの?

残念ながら、平成14年以降に作られた施設では(建設時の補助金の関係上)「多床室」がほとんど見られません。ですので、多床室を探すためには、平成14年以前に建てられた施設を探す必要があります。

サニーデイ

( ゚д゚)ええっ…

でも、古い施設だとさ…

なんか古臭くない??

そこでおススメなのが、「施設見学」です。お近くの施設を調べて、多床室がある施設を見学します。

コロン

厚生労働省のWAMnetを利用しましょう。

少し細かい設定が必要だけど、厚労省関連のサイトなので、確実ですね。

介護保険関係の情報には、行政(市町村)の情報であっても古いものが多いです
「WAMnet」は、介護保険のサービスだけではなく、介護保険以外の様々な福祉関連の情報が盛りだくさんなので、興味のある方は調べてみてください。

コロン

WAMネットの使い方を紹介した回がありますので、こちらを参考に使ってください。

実際に見学されると、どのような職員さんが関わってくれるのか、どんなお部屋で、どんな雰囲気なのか、一目でわかります。

もちろん、その時に施設の利用金額を聞くことができます(これは大きい‼)。

ケアマネジャーの意見も参考にはなりますが、実際に見学すると印象は全く変わります。

文字通りの「百聞は一見に如かず」となることでしょう

コロン

そこからの1泊2日~2泊3日程度のショートステイをお試しするのが、賢い利用方法になります。

サニーデイ

近くの施設を調べて、

実際にどのような場所か見学して、

短く利用する。

理にかなった良い方法だね。ぜひお試ししておじいちゃんおばあちゃんにあったショートステイを見つけてください。

コロン

なお、ショートステイにはメリットのほかにデメリットもあります。

↓こちらをご覧になって、確認することをおススメします。

今日のまとめ

今日のまとめ
  • ショートステイのロング利用とは

ショートステイを利用して、途中に自宅に帰ることなく(または2泊3日は帰宅)、ずっと使い続けることを言います。
ロングで使うとか、ロングショートステイ、ミドルステイなどとも言われます。

  • 30日を超えるとどうなるの?

31日目は、全額10割の自己負担のショートステイ利用になります。
32日目は、また1日目のカウントで次の30日目まで介護保険のショートステイサービスを利用できます。

  • 30日目を超えると始まる「減算」とは

31日目から、毎日300円の減算がショートステイ側に発生します。
見かけ上、ショートステイ側が毎日300円損しているように見えますが、実際は、30日目の全額自己負担の日に10割負担分の利用料金を頂いているので、損はしていません。

  • ショートステイのロング利用の料金は?

ブログの途中で出てきた料金を参考にしてください。
尚、要介護1や要介護2では、限度額オーバーが発生しますので、注意して下さい。

いかがでしたでしょうか。

ショートステイのロング利用は、かいごのともしび編でも紹介した。「小多機」と並ぶ在宅介護の切り札の一つです。小多機についてはこちらのブログを参考にしてください。

ショートステイを上手に活用して、施設の入所を待ったり、これまで頑張ってきたご家族様の英気を十分に養ったりなどご利用ください。

サニーデイ

ショートステイをうまく利用して、皆様のココロが晴れやかになりますように。

ABOUT US
福行(主任ケアマネジャー)
介護業界29年目の現役のケアマネジャーです。 介護福祉士を20年、ケアマネジャーは9年目です。
これまでのケアマネジャーの経験から、ビジネスケアラーとして遠距離介護や在宅介護を頑張る皆さま、介護保険サービスの使い方や将来の介護に不安を感じる方にブログを書いています。
ブログの内容は、担当するご家族様から頂くたくさんの質問のなかで、特によく聞かれる質問をもとに、介護保険制度やサービスの使い方について分かりやすく解説しています。