目次
はじめに
親の年金が少なくて、いざ介護をするときにはどうなるのだろうか…?
育児も終わり、ローンも終わりが見えた。自分の将来のためにお金を貯めたいのに、まさか介護でお金を使うとは…
40~50代の方は、将来に備えてお金の準備をしたいところです。しかし、親の介護でまさかの出費はしたくありません。
今回のニュースでは、50代の女性が親の介護のために自分の老後資金のためのお金を使っているという内容を記事にしています。
これまでの「かいごのともしび」をお読みになれば、対応策も見つかりますが、気が焦りすぎて読むのが大変だとお考えの方に今回のブログを書きました。
こちらをお読みいただければ、不安は軽くなるでしょう。
今回の記事はどんな内容のなの?
今回のニュース記事はこちらになります。
この記事では、高齢の母親が認知症を患っているために特別養護老人ホーム(特養)に入所したが、追加の費用が払えなければ退去を求められるという状況に直面した50代独身女性の話を紹介しています。
この女性は、自分の老後資金を母親の介護費用に充てる苦渋の決断を下しました。
日本では少子高齢化が進行中で、認知症患者の数は今後増え続けると予測されています。
記事によれば、50代の女性は東京で働きながら、茨城県の実家で一人暮らしをしている80代の母親の認知症の兆候に頭を悩ませていました。
家はゴミ屋敷寸前の状態で、母親は女性の名前を思い出せない状況でした。
母親の介護のために特養に入所させることになった女性は、これまで母親を世話してきた兄との間で金銭面を巡るトラブルに発展します。
母親の年金は月に11万円弱で、特養の月額費用には足りず、女性が自分の老後資金を使うことを余儀なくされました。
入居して3カ月後、施設からは母親が夜中に騒ぐため個室利用を提案され、追加の費用が必要だと通知されます。
この追加費用は5万円で、女性は自身の老後資金を取り崩し、これを自分で支払う決断をしたという内容です
大変な内容…
福行さんならどうするの?
この記事の方はどうすればよかったの?
もし この記事の方が相談してきたらまずは以下のことをおすすめします。
- 有給休暇を1日 取って、ご本人の年金の入る通帳に最新の残高を記載して、ご実家の市区町村役場に行って負担限度額認定申請を行う。
- 前年度や前々年度の確定申告で作成した書類があれば、同じく市区町村役場で社会福祉法人等利用者負担額軽減申請を行う。
- 市区町村役場で上の2つの申請が承認されたらその足で 特別養護老人ホームに伺い その旨伝える。
これで解決すると考えられます。
負担限度額認定申請とは何でしたっけ・・・?
負担限度額認定申請については以前ブログで「お食事代 やお部屋代が安くなるかもしれない申請」として書かせていただいておりますので そちらを参考にしてください。
ちなみに今回の記事の方の場合 おそらく 第3段階②という枠に該当する可能性が高いです。
第3段階②であれば 11万円の年金であれば、特養なら十分に過ごすことが可能な金額です。
いくらぐらいの金額になるのか はこちらの特養について書かれたブログの中盤ぐらいに各介護のごとの金額の目安を書いておりますのでこちらを参考にしてください。
もし 負担限度額認定申請が却下された場合は、記事の方はお一人暮らしの方なので500万以上の預貯金をお持ちだったということになるでしょう。
この場合はまずは 預貯金を取り崩しながら施設で過ごしていただいて、預貯金が500万を下回ってきたらもう一度申請してみてください。
預貯金の条件をクリアできれば、すぐに申請だね。
社会福祉法人等利用者負担額軽減申請ってなんですか…?
社会福祉法人等利用者負担額軽減申請は、業界用語で社福軽減と言います。名前が長いのでここでも「社福軽減」と言わせていただきます。
名前も長いし、「社福軽減」と短くしても難しそう…
図も使いながら、分かりやすく説明するからね。
社福軽減は低所得で生計が困難である者について、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人等が、その社会的な役割にかんがみ、利用者負担を軽減することにより、介護保険サービスの利用促進を図ることを目的とするものです。
申請には以下の条件が必要です(上の図も参照してください)。
- 市民税が世帯非課税の方。
- 年間収入が単身世帯で150万円(世帯員が1人増えるごとに50万円を加算)以下であること。
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円(世帯員が1人増えるごとに100万円を加算)以下であること。
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと。
- 負担能力のある親族等に扶養されていないこと。
- 介護保険料を滞納していないこと。
申請には以下の書類が必要です(上の図も参照してください)
- 申請書
- 収入等申告書兼課税状況調査同意書
- 令和5年4月~7月に申請する場合は令和3年1月1日以降の収入がわかる書類(世帯員全員分、源泉徴収票・確定申告書の写しなど)
- 令和5年8月~令和6年3月に申請する場合は、令和4年1月1日以降の収入のわかる書類(世帯員全員分、源泉徴収票・確定申告書の写しなど)
- ・預金通帳(世帯員全員分)※申請日の直近~2カ月前までの明細が判るよう記帳された通帳すべてを、ご持参ください。
- 有価証券
- 債権をお持ちの方は証書または写し(世帯員全員分)
申請が通れば、以下のような軽減を受けることができます。
あらかじめ市に届出された社会福祉法人等により提供されるサービスの利用者のうち、収入の少ない人に対して、利用料・食費・居住費(滞在費)・宿泊費が25%程度軽減されます。
なお、生活保護者等は、短期入所生活介護・地域密着型介護老人保健施設入所者生活介護・介護老人福祉施設を利用する際の個室の居住費(滞在費)のみが、自己負担率0%に軽減されます。
つまり、さらに費用を減らすことができるんだね。
この2つの申請は、市区町村役場に行けば、申請することができます。
これだけで今回の記事の悩みを解消できるでしょう。
申請が却下された場合の対処方法
万が一、何らかの理由で申請が却下された場合(具体的な理由は分かりませんが)、次に考えるべき手段としては、以下のものあります。
- その方の収入に合った特別養護老人ホーム(特養)を探す。
- 生活状況を説明し、生活保護の申請に切り替える。
生活保護は、収入が全くない方だけでなく、一定の収入がある方でも利用可能です。
ただし、もし収入が生活保護の基準額を超えている場合、超えた分は自己負担になります。
こうした方法を利用すれば、高い施設利用料を自腹で支払う必要はなくなります。
福祉制度の名前や条件は複雑に感じるかもしれませんが、実際に市区町村の役場を訪れて相談してみると、手続きはそれほど難しくはありません。
今日のまとめ
介護施設の費用が負担だと感じたら、次のステップで支出を減らせるかもしれませんので、試してみましょう。
- 負担限度額認定申請:介護施設の料金を収入に応じて減らします。市区町村役場に行き、必要書類を提出してください。
- 社福軽減申請:低所得者向けに介護保険サービスの自己負担を軽減。所得や貯金が一定の基準以下である必要があります。
申請が却下された場合は、次の選択肢を考えましょう。
- 収入に合った特養施設を探す。
- 生活保護の申請を検討する。
生活保護は収入があっても申請可能です。ただし、基準額を超える収入は自己負担になります。
これらの申請で高額な料金を自分で払う必要はありません。市役所での申請は難しくないので、ぜひ試してみてください。
介護のお金で困った時にぜひ 思い出していただければ幸いです。
この記事の違和感
ところで、この記事の不思議なところは、このような制度の利用を施設のケアマネジャーや生活相談員は教えなかったのかなって感じます。
もし知らないのであれば、それはそれで問題があると思いますし、知っていて 言わなかったのであれば 意地悪な施設だなと感じます。
いろいろな施設があるけれど、この「かいごのともしび」を読んでいれば安心だね。
在宅介護をがんばる、皆さまのココロが晴れやかになりますように!
そんなときは、どうすればいいのさ…