目次
特養の順番待ちの中身を解説
はじめに
特別養護老人ホームの魅力の一つに、介護の質は高級な有料老人ホームとほぼ同等なのに、国民年金の額でもなんとか入所できる「安さ」があります。
そのため、多くの人が申し込むため、200~300人くらい「順番待ち」が常態化しています。
このブログでは、この順番待ちの「中身」や「からくり」を紹介します。
お読みいただければ、いつ順番が回ってくるのか分からないという不安は軽くなるでしょう。
特別養護老人ホームの順番待ちの実態は…
何年も呼ばれない人の特徴は…?
特養入所待っている間にできるアクション
特養入所を待っている間に利用するおススメサービス
他の「老人ホーム」は…?
選び方のポイントは
特養順番待ちの実態
特養の種類から
特別養護老人ホームには、「広域型」と「地域密着型」という種類が存在します。違いは以下の通り。
- 広域型は全国各地から申し込みができます。
- 地域密着型は、その施設のある市区町村に住所がある人だけが申し込めます。
入所の利用料が安い「多床室」がある特養は「広域型」に多く見られます。
その様な方々は、入所のお声がかかればいいけど、もし呼ばれてもちょっと考えるかも…といった、「数うちゃ当たる」的な考えで申し込んでいます。
申し込みには制限はないので…
すなわち、ひとりの申込者が(近くはもちろん、遠くても)複数の施設を申し込んでいるのが当たり前なので、その施設だけを待っている人が200~300人ではないのです。
ですので、200~300人でも、順番の進みは早くなります。
ここで問題があって、待っている間はご家族様は方々の施設に申し込みますが、いざ入所すると、申し込んだ施設に申し込みキャンセルの連絡をしてくれるご家族があまりいません。
つまり、すでに入所している人が、順番待ちをしているという状況になります。
そうやって、順番待ちが増えてしまう一面もあるんだね…
申し込みキャンセルをしないと…
すでに入所しているかたばかりではなく、以下の方も順番待ちをしています。
- 入院中の方
- すでにお亡くなりの方
- 他の家族が申し込んでいることを知らずに、あっ気にとられる入所するつもりのない方
- 状態が良くなったので(要介護3より軽くなったり、認知症状が軽快したなど)入所するつもりはなくなったが、キャンセルもしない方
- 入所前の準備がおっくうで、入所はせず、現状維持を望まれる方
入所の順番が回ってきて、連絡をしても以上のような方々に当たれば空振りに終わります。
これじゃ、入所担当の生活相談員さんも大変だね…
「まだ何人か順番を待っている」と聞いていたのに、あっという間にお声がかかるときはこのような方々が前にいた可能性があります。
リアルな申込者は何人くらいなのか…?
地域性やその特養の人気度よって当然違いますが、私の経験では、200~300人待っているうち、リアルな申込者は50~70人くらいだと思います。
だいぶ少なくなったけど、それでも多く感じるね…
順位は、あくまで入所申込書の状況調書の点数で決まるから、順位を聞くと、思ったほど離れていないと感じると思います。
何年も呼ばれない人の傾向
なぜ呼ばれない…?
申込者の中には何年も呼ばれない方も中にはいます。
理由は、入所申込書の状況調書の「点数が低い」ことが挙げられます。この点数については後程解説します。
もう一つ理由は、「申し込んだ後に何もしない」場合です。
申し込んだら、待っているだけで、何もすることはないでしょ…?
それはその通りです。ですが…
200~300人の待機者の情報がまとまって置いてあるのです。書類に埋もれることも時にはあります。
埋もれて見つからなければ、その方が見つかる可能性は低くなります。
じゃあ、どうすればいいのさ?
【特養順番待ち中のコツ】待機中のアピール
待っているご高齢の方は
これらは、点数の上がる要因です。つまり順位が上がります。
このことを伝えておかないと、順位も動かず、また埋もれていた場合は見つけることもできません。
そうは言っても、まだまだ順番待ちが長いのにアピールに意味があるの?
気付いてもらうことの大切さ
順番待ちが長いと言っても、すでにどこかに入所していたり、待っている気がない方もいれば、申し込みを忘れ去られている方もいるのです。
つまり、「ちゃんと待機している」と気づいてもらう促しは重要なのです。
ひとつ注意する点は、アピールや働きかけが必要と言っても、過度に「順番はどうなった?」と確認することは、同じ順番待ちでも、良い印象を与えません。
介護度が変わったときや介護する家族の状況が変わったときに伝えるようにしましょう。
特養入所申し込み状況調書・配点の傾向
得点による順位の傾向
経験上、待機者が増えると一概に言えませんが、以下のような傾向があると思われます。
90点以上
入所待機順:TOP5に入れるでしょう。
85点以上
入所待機順:TOP10に入れるでしょう。
75点以上
一番のボリュームゾーンです。待機の比較的少ない施設に申し込んだら、TOP10にぎりぎりはいれるかも。
待機中のアピールで、順位は大きく変動します。
65点以上
ここは多床室の待機では呼ばれる可能性は低い。待機者の少ない「ユニット型個室」なら運よくTOP10に入れるかも…?
それ以下
在宅介護が難しい状況なのかもしれませんが、現状、特養での待機ではよほどの強運を持っていないと入所は難しいでしょう。申し込みだけして、他の施設を検討しましょう。
よほどの強運って?
理由はいろいろあるけど、突然たくさんの退所や前の順位の人が他に入所するなどがあって、その中に運よく入ることができた、あるいは順位が大幅に上がったなどです。
【とても重要】特養申込書類の「配点」の傾向
特養の入所待機に大きな影響を及ぼす「配点」は、その施設でブラックボックス化されてはおらず、その施設のある市区町村が公表している評価基準に準じています。
調べたい人は、どうすればいいの?
「お住いの市区町村あるいは県」「特養」「入所選考調査票」「評価基準」「点数表」などこれらのワードを組み合わせ検索すれば、確認することができます。
【特養待機中のコツ】配点の傾向として
このほか、同居家族が高齢であるか、病気があるか、他に育児や介護が必要な方がいるのかなどを聞く項目などなど、地域によって配点の考え方が異なるので、気になる方は確認しましょう。
これを見ると、
この2つがそろうだけで、かなり高得点なの?
かなり高得点になります。
この点数が、順番待ちの順位を決めます。1点の差で混戦を抜け出せることもあります。しっかり書いてもらいましょう。
入所の待機を進めるための方法
お住いの地域の施設の待機者は?
待機者を調べる方法
地域によって、施設入所の待機者を公表している市区町村があります。
地域によって本当に異なります。
「市区町村名」「特養」「待機者」などで調べて、確認してみましょう。
え、この施設はこんなにたくさん待っているの⁉
これまでの読んでいただいた内容の通りです。
実際に待っている方々は、その数の1/4弱と思ってください。その方々でも、何件か申し込んでいるものです。
また、その待機者サイトの更新頻度はどれくらいでしょうか?
更新間隔が長い場合は、待機者数が変化している場合が多いです。
つまり、その数値は現在を反映していない可能性があるんです。
それではすぐに申し込んだほうがいいの?
例えば、表面上300人待ちのところに、本日申し込んだら301番目になるかと言えばそうではありません。。
- 現在の待機者:300人
- 次回の「入所検討委員会」への待機者1名
このようなカウントになります。つまり、すぐに順番待ちにはならないのです。
ナントッ!!Σ(゚∀゚ノ)ノ ということは…
入所検討委員会が終わった後に申し込みをすると、順番が決まらない時間が一番長くなるってこと。
その通り。その時間はもったいないですよ。
(順番を決める会議)入所検討委員会とは
入所検討委員会はいつ行われるの?
入所検討委員会の開催時期は、その施設によって異なるので、問い合わせたほうが良いでしょう。
年に2回開催なのか、年に3回開催なのか?
何月に行われているのか?
締め切りはいつまでなのか?
その施設に問い合わせれば教えてくれます。
入所検討委員会はどう行われるの?
これまでの待機者に加え、新たな待機者も混ぜて、状況調書からの得点を参考に1番から順位をつけていきます。ここでの順位は次回の入所検討委員会までは不動となります。
早く順位がほしい時には、次の入所検討委員会の締め切り前に申し込んだ方がいいね。
特養入所待機の裏ワザはあるの?
【とても重要】裏ワザは・・・
(。・ω・。)wkwk なにかあるんでしょ。早くおしえて💕
裏ワザ…?
ないよ。ありません。
ガ━━(;゚Д゚)━━ン!
他のサイトには「裏ワザ」と書いてあっても、中身はこれまで読んでもらった内容と同じなのです。
ε-(`∀`*)ホッ それなら良かった。
確かにこれまでの内容は裏ワザという感じじゃないよね。
それを「裏ワザ」というのは、大げさだと思うよ。
【特養待機中のコツ】特養の申し込みは
- 入所検討委員会に合わせてタイミング良く待つ
- 申し込んだ後は、申し込みのご高齢の方や家族に変化があったときはすぐに報告。
- 複数の特養に申し込む
これらにつきます。
待っている間はどうすればいいの?
【特養待機中のコツ】手堅く選ぶなら、この3択!
待機中は、他のサービスを利用して待つしかありません。おススメは以下の3つ
申し込んでいる特養のロングショートステイ利用
詳しくはこちらをご覧ください。
メリット・デメリットは以下の通り。
ほとんど入所と同じだもんね。
老健を利用しながら待つ。
詳しくはこちらをご覧ください。
メリット・デメリットは以下の通り。
基本は3か月の入所期間です。
もし、本当に気に入ったときには、どれくらいいられるのか、確認したほうがいいですよ。
小多機で待つ
詳しくはこちらをご覧ください。
メリット・デメリットは以下の通り。
小多機の「お泊り」の料金が高いので、お泊りの利用が増えてきたら、施設入所のタイミングと言えるでしょう。
大手企業のサイトでは、他の種類の老人ホームも進めているけど…
現役ケアマネの意見
介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は基本的におすすめしません。
理由はサービスや食事がいまいちなうえに、金額が高いからです。これに尽きます。
サービス内容も微妙です。夜間は無人で、警備会社が呼び出しボタンで対応(これも有料)というところもあります。
逆に以下の方は利用をおすすめます。
唯一利用をすすめる条件としては、以下の2つどちらも該当する人です。
この方は、身元保証人になる方もいないので、特養や老健に入所することができません。
ですので、「身元保証人なしでも可能」「生活保護受け入れ可能」「最期までお世話をしてくれる」サービス付き高齢者住宅がありますので、そちらをご利用することになるでしょう。
特養に入所したいけど、できるだけ待ちたくはない人は
地域密着型やユニット型個室の施設を確認しましょう
話を聞いていてさ、だんだん待つのが当たり前のような展開になっているけど、なるべく待たないための方法はないの?
多床室の待機者の中には、他の地域からの申込者もいましたね。
「広域型」って言っていたね。全国各地から申し込みが可能なんだよね。
逆に「地域密着型」であれば、お住いの市町村の方だけが申し込みができます。
地域密着型の施設は「ユニット型個室」の場合が多いです。申込先に確認してみてください。
経済的に余裕があれば、「ユニット型個室」の特養がおススメです。
ユニット型個室の特養は、お部屋の造りや、サービスもやや手厚い分、料金は割高になります。
しかし、介護付き有料老人ホームよりは料金を抑えて入所ができます。
そして何より、待機者が多床室に比べて圧倒的に少ないです!
金額をご確認後、お支払いが何とかなりそうなら、申し込みの選択肢の一つにしていいと思います。
また、負担段階が「第2段階」の人にもおすすめです。
実は料金を見ると、多床室と大きい差が見られません。「第2段階」の方も申し込みの選択肢としてはありです。
負担段階って何❓という方はこちらをご覧ください↓
さらに、こんなユニット型個室もあります!
「ユニット型個室的多床室」というお部屋を持つ施設がたまーにあります。
このお部屋は、2部屋分の大きいお部屋で、天井は通っていますが、真ん中が壁で仕切られていています。
つまり、ほとんど個室です。
ですので、その部屋が集まりユニットケアの体裁が整っている施設があって、その部屋のことを「ユニット型個室的多床室」と呼びます。
((φ(・д・。)メモメモ それで…
このお部屋の良い点は、通常のユニット型個室の料金より少し安いことです。以下に通常のお部屋代(第4段階)の金額を示します。
もし「第2段階」で「ユニット型個室的多床室」を選ばれると、「第2段階・ユニット型個室」の時よりさらに料金をお安くすることができます。
そのようなお部屋のある特養もありますので、ぜひ探してみてください。
個室系の施設、順番待ちにはこんなメリットも…
「ユニット型個室」や「ユニット型個室的多床室」など個室系の施設の順番待ちには、「入所までの進みが早い」というメリットがあります。
順番がさくさく進むってこと?
どうして…? ( •ω•˘ ).。oஇ
多床室は「男性部屋」と「女性部屋」に分けられています。
つまり、男性の順番待ち1位であっても、女性部屋しか空かないときには、その男性は入所できなんだよ。
その点、ユニット型個室など個室の場合は、個室であるため、男女差がなくなります。つまり、空けば男性女性関係なく入所ができます。
φ(*’д’* )ナルホド 個室ならではのメリットだね。
順番待ちも少ないし、順番の進みが早いなら、金額次第だけど、ぜひ検討したいね!
どんな特別養護老人ホームやほかの施設があるのか、リサーチしてみましょう。
これまでのお話を参考に、お住まいの地域ではどのような介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)があるのか調べてみましょう。
厚生労働省のWAMnetを利用しましょう。
少し細かい設定が必要だけど、厚労省関連のサイトなので、確実ですね。
介護保険関係の情報には、行政(市町村)の情報であっても古いものが多いです。
「WAMnet」は、介護保険のサービスだけではなく、介護保険以外の様々な福祉関連の情報が盛りだくさんなので、興味のある方は調べてみてください。
WAMネットの使い方を紹介した回がありますので、こちらを参考に使ってください。
今日のまとめ
特別養護老人ホームの順番待ちの実態は…
何年も呼ばれない人の特徴は…?
特養入所待っている間にできるアクション
特養入所を待っている間に利用するおススメサービス
他の「老人ホーム」は…?
選び方のポイントは
いかがでしたでしょうか?
今回のブログでは、特別養護老人ホームの順番待ちのからくりを余すことなくお届けしました。
これらを参考に、特養の申し込みをされたり、順番待ちの不安が軽くなることを願うばかりです。
介護を頑張る皆様のココロが晴れやかになりますように。
つまり、200~300人の中には「え、そんな離れたところから申し込んでいるの⁈」と思うような方もいます。