目次
はじめに
「◯月 ✕日には退院ですので、それまでに次に行くところを探してくださいね」と言われた。
「この前、うちのおばあちゃんは入院したばかりなのにどうして退院がわかるのだろう?次に行くところは一体どこなのだろう?」
このような相談は私の元にかなり多くやってきます。
病院は治療する場所で、治療がこれから始まるのにどうして退院日がわかるのでしょうか?
次に行くところと言われても次にはどのような選択肢があるのでしょうか?
今回のブログでは、かいごのともしびオリジナルで「医療と介護のロードマップ」を作りました。
このブログをお読みいただくことで、医療や介護でこの次はどのように進んでいくのか 迷われる皆様の参考になるでしょう。
医療と介護のロードマップ
こちらが「医療と介護のロードマップ」です。
これは見やすいね!早くなかみを教えて。
病院の種類とは
ロードマップの上の部分は 主に 医療機関(病院)になります。
体調を崩し、病院にかかり、病気が確認され、入院治療が必要と言われた場合、まず初めに入院するのが「急性期病棟」と呼ばれるところです。
急性期病棟はその病気に対する治療が行われ、入院期間はだいたい2週間長くて1ヶ月程度です。
その病気に対する治療って言ったけれど 入院中に他の病気が見つかったらどうするの?
他の病気が見つかっても、基本的に入院のきっかけになった病気を治すことに専念するみたいだね。
でも新しく見つかった病気の方が深刻で、急に治療が必要な状況であれば、もちろん治療はしてくれるよ。
その入院しているおじいちゃんおばあちゃんを治療してるわけだから、他の病気が見つかったら他の病気も治療すればいいのにね。
今の病院のお会計が、病気単位で、1日の金額が定額で決められています(業界用語で「DCP」 と言います)。
ですので、2つの病気を同時に治療するというのが会計上でできなくなっているのです。
腑に落ちない話だけれど、そう決まっているなら仕方がないね…
他の病棟について
回復期リハビリ病棟
いくら病気が治ったからと言ってもさ、体が回復するためにはリハビリとか療養生活も必要なんじゃないの?
その通りです。そのために回復期リハビリ病棟 などがあります。
回復期リハビリ病棟は、診断された病気によって入院できる長さが異なります。
短ければ 60日、長い場合で 180日の期間入院できます。
その間に、退院後は在宅介護を希望するのか、あるいは 施設介護を希望するのか、回復状況も踏まえてご本人やご家族様が決めていきます。
そうは言っても、施設介護を希望した場合に施設では順番待ちとかもあるから、すぐに入所はできないんじゃないの?
もし、回復期リハビリ病棟に入院してる間に施設の順番待ちだけで経過した場合は、地域包括ケア病棟や医療療養病棟へ入院先が変わります。
地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟は、多くの病院で見られるようになりました。
この病棟も回復期リハビリ病棟と同じで、急性期病棟から退院した患者さんが次(在宅介護か、施設介護)に行く前の段階にあり、この病棟では入院期間は最大2ヶ月間あります。
急性期病棟を退院した後は、回復期リハビリ病棟と地域包括ケア病棟があるのは分かったけれど、どっちが最初かっていうのはあるの?
どちらが必ず先というのはありません。
最初に入院した病院に もし地域包括ケア病棟が併設されていれば そちらに移ります。
逆に 慢性期リハビリ病棟のある病院と提携していれば そちらに最初に行くことになるでしょう。
色々な病棟はあるけれど、もしどれだけ待っても施設に入所できなかった場合はどうなるの?
病院にはこの他医療療養病棟という病棟 もあります。
こちらの病棟も 急性期の病棟を退院した後の受け皿でもあります。
つまり、色々な受け皿としての病棟があって、施設介護を希望してもなかなか入所できない状況でも、医療機関にはそれなりの受け皿があるということです。
ところが、病院は経営も考えなくてはいけません。
老後を病院で過ごす、いわゆる「社会的入院」というのは 国の方針でもありません。
ですので 医療機関は一時的な受け皿として考えていく方が良いでしょう。
多くの場合は、慢性期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟に入院してる間に、介護老人保健施設に入所したり、特別養護老人ホームに入所したり、ショートステイを利用する方向が決まります。
入院の費用はいくらなの?
入院のお金ってどれぐらいかかるの?
病院の会計は「病気」によって一日の金額が違います。
しかし「高額療養費制度」というものがありまして、月々のお支払いの上限額は所得によって決まっています。
そうであれば、1回の入院に何百万もかかるとかという心配はないんだね。
確かにそんなにかかりませんが、いくつか注意点はあります。
高額療養費制度はあくまでも 医療保険が適用された分の金額に適用されるということです。
え、病院なんだから全部 医療保険でしょう?
入院は医療保険でまかなえる治療の部分だけでなく、お食事代 やお部屋代が別にかかります。
病院では「入院セット」と言って着替えやタオル、おむつなども医療保険以外の費用としてかかります。
つまり、病院のお支払いは 高額療養費で上限まで支払ってから、さらにお食事代、お部屋代 入院セット代が発生するという仕組みです。
いくら、高額療養費 が適用されても、これではお支払いは結構高くなってしまうね。
よく ビジネス系YouTuberで医療保険が不要という議論があります。
ここまでの話から、高額療養費に加えたその他の費用を考えた時に、現状の家計からまかなうことが難しい場合も、それぞれの家計ではあり得ます。
その場合、医療保険に加入することは決して悪くない選択肢とも言えるのです。
そのためにYouTuberさんも「生活防衛資金」を貯めなさいとは言ってるけれどね…
しかし、ご家庭の状況はそれぞれありますので、生活防衛資金がなかなか貯められない状況もあるのです。
少し入院の金額で話がそれましたので またロードマップに戻りましょう。
次の行き先 「介護老人保健施設」
介護老人保健施設についての説明や 金額はこちらのブログに書いてありますのでご覧ください。
基本的に「3ヶ月」しか入所ができません。
でも 3ヶ月以上入所してる人もいるんじゃない?
それはあくまでも「施設でどのように考えてるか」次第です。
基本は3ヶ月しか入れません、というより 3ヶ月を過ぎると国からもらえる報酬が変わってくるんです。
ですので、長く入所されてしまうと、施設としての採算は悪くなります。
しかし、地域の高齢の方々のために尽くすという使命のもと長く入所してもらうという老人保健施設もあります。
でもそれはもしトップが変わってしまったら、施設の方針は変わるって言うことでしょう?
どんなに素晴らしい理念を掲げていても、お金が入らなければ続けることはできません。
トップが変わり、これまでは3ヶ月以上の入所も容認していたけれど、今度からは退所進めていくという方針に突然切り替えるという施設は少なくありません。
そこに「ずっといられる」と思っていたおじいちゃんおばあちゃんやご家族さんは困ってしまうね。
その方々のために、今回はこのようなロードマップを作っているわけです。
ロードマップがあれば、次にどこに進んでいけばいいかがわかることで その不安は軽くなるでしょう。
介護老人保健施設はあくまでも「中間施設」という立場です。
ずっと最後までいることのできるという性質の施設ではないことは、知っておいた方がいいでしょう。
次の行き先は在宅介護?施設介護?
介護老人保健施設からの次の行き先は、別な施設に移るか在宅に戻るかの2つの選択肢があります。
ここで 前に紹介した特別養護老人ホームも出てくるんだね。
特別養護老人ホームの説明についてはこちらのブログをご覧ください。
でも特別養護老人ホームは痰の吸引とか 経管栄養とか 医療的な行為に関してはあまり強くない施設だったよね。
もしそのような医療的なケアが必要な人というのは施設に行くことはできないの?
介護老人保健施設であれば 医師も看護師もいるので 医療的ケアが手厚い施設と言えるでしょう。
しかし 介護老人保健施設は基本的に3ヶ月しかいられません。
ですので、次に移る施設も医療的ケアが手厚い場所を選ぶのなら「介護医療院」という施設が選択肢となるでしょう
介護医療院 というのはあまり聞かない名前の施設だね。
以前は「介護療養病床」と呼ばれていたりしました。
社会的入院をなくす方向に進めたい国は、介護療養病床は段階的に廃止して、その代わりに介護医療院という新たな施設を創設しました。
ちなみに医療的ケアが手厚い 老人保健施設や介護療養病床などが この介護医療院に転換しています。
介護老人保健施設 の次の行き先が生活の場である「特別養護老人ホーム」、医療的ケアが充実した「介護医療院」そして「在宅介護」の3つの選択肢があるんだね。
在宅の介護保険サービスはこれまで「かいごのともしび」で多く取り上げておりますので そちらをご覧ください。
特に 第1話はサービスについて ダイジェストで語っておりますので おすすめです。
最終的な行き先の候補は特別養護老人ホームと介護医療院と在宅サービスだけれど、その他に使えるサービスはあるの?
紹介した3種類のサービスは、いずれも看取りケアもできるので、最期まで利用できるサービスです。
さらに一部の介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅も看取りケアができるので、 利用の選択肢なるでしょう。
仮に特別養護老人ホームに入所できたとします。
しかし、新たな病気が起こってしまえば、病院に戻り、必要に応じて他の病棟に移動したり 介護老人保健施設に移ったりというような流れになります。
結局、その後の行く先は身体の状況次第ということになります。
いずれにしてもこのロードマップの流れに沿うということなんだね。
このロードマップを参考に今いる場所から その方が どうなってしまうのか という心配が少しでも軽くなることを願うばかりです。
今日のまとめ
いかがでしたでしょうか?今回はかいごのともしびオリジナルで作ったロードマップをもとに、病院に入院したところからどのように 介護サービスへ繋がっていくのか、流れを紹介させていただきました。
この流れが分かれば、今いる場所や状況が分かり、そして次にどのような準備をすればいいのかということがわかるようになるでしょう。
そうすることで、介護は続いたとしてもこの先どうなるかという不安は軽くなっていきます。
こちらのロードマップをぜひ参考にしてくださいね。
皆様のココロが晴れやかになりますように。