目次
はじめに~おひとり様介護へのガイド~
「人生いろいろあったけど、ひとりで生きていくことに決めた。なのに…間違っていたのかな…」
「子どもはいない。このあと誰が私をみてくれるのだろう…」
生き方の多様化によって、これまでの、結婚して当たり前、結婚したら子どもがいるのが当たり前という価値観は古いものとなりました。
しかし、この国において、人々の生き方の多様化に合わせたシステムはまだできていないと言えるでしょう。
様々な生き方の選択をしてきた末に「ひとりで生きる」ことを選んだ人は、いつ発見されるか分からない、孤独死を迎えるしかないのでしょうか?
ひとりで生きる人たちは、その人生の幕が下りたら、どうなってしまうのでしょうか?
必要な準備はあるのでしょうか?
ひとりでも不安なく、充実した老後を過ごせるように、このブログが皆さんのサポートとなれば幸いです。これからの人生の準備、一緒に進めていきましょう。
介護保険を活用した充実したサポート体制の構築
自宅での生活を中心に考えた時、小規模多機能型居宅介護サービスが非常に便利です。
このサービスを利用して、可能な限り自宅での生活を継続できるようにしましょう。
もし健康状態が変わり、自宅での介護が困難になった場合は、特別養護老人ホームへの入所を検討します。この流れは、費用を抑えつつも、可能な限り自宅で快適に過ごすという目的に沿ったものです。
ただし、施設入所の際には重要な考慮事項があります。
それは、身元保証人の必要性です。
介護保険が適用される3種類の施設(介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、介護医療院)では、原則として身元保証人が必要になります。
身元保証人を用意できない場合、入所が難しくなってしまいます。
じゃあ、身元保証人がいない場合、独り暮らしの方々はどのようにすればすればいいの?
身元保証人の役割と対応策
身元保証人は、施設入所や病院入院時に重要な役割を果たします。
多くの場合、身元保証人の不在は大きな障害となり得ます。
身元保証人がいないと、入院を断られる病院もあるようですね。
そうなんだよ。ただし、 厚生労働省からは身元保証人がいないという理由だけでは入院を拒否してはならないという文書が出ています。
厚生労働省の文書についての詳細はこちら。
私の活動する地域では、身元保証人の有無により対応が分かれる病院がありました。つまり、病院によって対応は異なります。
身元保証人がいないと、どんな問題が出てくるの?
医療状況は予測不可能です。患者が自身の意志を明確にできる場合は問題ありませんが
- 病気が進行して自己判断が難しくなる
- 認知機能が低下する
例えばこれらの場合、治療方針の決定に患者に代わって意向を伝えられる人が必要となります。これが身元保証人の必要性です。
次に、身元保証人になり得る人の条件と、それに伴うメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
知人や友人
深い交友関係がある場合、知人や友人が身元保証人になることがあります。
この選択は、理想的な状況ではないかもしれませんが、身元保証人がいないよりは望ましい選択です。
本当だね。友達を助けたいという軽い気持ちから始めても、命に関わる決断をするとなると、思ったよりもずっと大きな責任を感じるよね。
身元保証人を一度引き受けると、病院や施設への入所時にも同じ要求がされ、断るのが難しくなるんだよ。
もし『あなたが引き受けないと入所できない』と言われたら、本当に困るよね。更に『できないなら、あなたが面倒を見て』と言われたら、どうしようもなくなるよ…
遠い親戚
遠い親戚を身元保証人として頼むことは、状況によっては可能な選択肢です。
昔親しくしていた程度の親戚に、重要な決断を委ねるのは、役割が非常に重いと感じられるね。
確かに、幼い頃に遊んでもらったり、お年玉をもらった記憶のある人が、いざというときには大きなサポートを求められる立場になるとは思いもよらないでしょう。
任意後見人
高齢者がまだ健康で判断能力があるうちに、信頼できる人を任意後見人として指名できる制度があります。この選択は、将来的なサポート体制を早期に整える上で非常に有効です。
つまり、任意後見人は、ご高齢の方が亡くなった後のことまで面倒を見ることはできないんだね。
成年後見人
成年後見人制度は、任意後見人とは異なり、本人が後見人を選択することはできませんが、その権限はより広範囲に及びます。
- 月額報酬: 成年後見人には定期的な報酬が発生します。報酬は保有資産の規模によって異なり、一般的には月2万円から6万円の範囲です。
- 財産管理の厳格性: 家庭裁判所への定期的な報告が義務付けられており、財産管理に関する厳密な監督が伴います。これにより、本人の資金の自由な使用が制限されます。
じゃあ、ちょっとした欲しいものがあって「おこずかい欲しい」と言っても、すぐにお金をもらうのは難しいってこと?
そうだね。合理的な理由が必要だし、家庭裁判所に収支報告をするから、自由に使えるお金には限りがあるんだ。
後見人制度を利用をまだ始めていないときに、一時的に介護施設の費用を立て替えた場合、後見人が着任してからちゃんと返金されるのかな?
返金されるよ。ただし、正当な根拠となる書類が必要になるから、手続きには注意が必要だよ。
成年後見人の任務は、本人の生活と財産を守ることに焦点を当てています。
しかし、本人が亡くなるとその役割は終了し、後見人は亡くなった本人に関する直接の手続き(例えば、相続手続き)には関与しません。
それでも、簡易的な埋葬手続きなどの最終的な支援を提供するケースもあるようです。
身元保証人の種類には「家族信託」というものもあります。
今回は「おひとり様介護」の話ですので割愛させていただきます。
ですが、家族信託を活用できれば、生前から亡くなった後まで、その方の意向が反映されるとても良い方法です。
死後事務委任について
身元引受人の選択肢については理解したけど、亡くなった後の手続きはどうすればいいの?
財産がない人の場合
財産がない場合、いずれの段階かで生活保護の申請が必要になることが多いです。
生活保護を受けている方が亡くなった場合、指定された担当者が死後事務の手続きを代行することがあります。
事前に生活保護担当者と話し合う機会があれば、もっと安心できるね。
財産がある人の場合
財産がある場合、民間事業者による死後事務委託サービスが利用可能です。
これらのサービスには通常、身元引受人の代行や死後事務処理が含まれますが、コストは比較的高く、約200万円が相場となっています。
40代や50代のうちから準備しておけば、なんとか貯金できるかもしれないね。
民間業者によっては、契約だけをして、契約の履行をしない業者がみられることがあります。
民間業者と契約する場合は、契約したことを担当のケアマネジャーに伝え、ケアプランにも書いてもらうとよいでしょう。
市区町村によるサポート:
一部の市区町村では、身寄りのない一人暮らしの方が亡くなった場合の死後事務委託サービスを提供しています。利用可能かどうかは居住地の市区町村に確認が必要です。
将来的にこのようなサービスが増えることが期待されますね。
現状の選択肢の検討
最後に、現時点で利用可能な選択肢を掘り下げてみましょう。
収入が低く、財産もない人の場合
この状況では、生活保護の申請が最適なルートとなり、介護保険サービスの利用が可能です。
身元引受人が不要な介護保険施設があれば理想的ですが、必要な場合は知人や友人に相談することも一つの手です。
また、生活保護受給者向けに身元引受人不要で入所可能なサービス付き高齢者住宅も存在します。
この辺りは担当されるケアマネジャーの手腕(検索力)にかかってますね。
収入はあるが、財産がない人の場合
収入がある場合、後見人制度の活用が望ましい選択肢となります。
後見人は身元引受人として機能し、介護保険制度下の施設への入所が可能になります。
ただし、後見人の報酬を考慮した上で、実際に利用する施設を選ぶ必要があります。
ただし、後見人は医療の同意など、特定の状況下で保証人として機能しないことに注意が必要です。
これは、手術や治療方針についての同意が必要な場合に特に重要です。
収入が少ないが、財産がある人の場合
収入は少ないが資産がある場合も、後見人制度を利用することができます。
資金に余裕があるならば、死後事務委任や身元引受人の代行を行う民間事業者との契約を検討するのも良いでしょう。これにより、入院時の安心感を得られます。
万が一資金が尽きた場合は、生活保護の申請を検討することになります。
収入と資産のバランスによって、選択肢が大きく異なるんだね。
収入と資産の両方がある人の場合
収入も資産も十分にある場合、身元引受人の問題を民間の事業者に委ねることで、より自由に生活の選択が可能になります。
これにより、在宅生活でも施設入所でも、柔軟に対応できるようになります。
要は、身元引受人を確保することができれば、あとは自由に過ごすことができるんだね。
今日のまとめ
本日は、「おひとり様介護」というテーマに焦点を当てました。
おひとり様介護の課題は多岐にわたりますが、特に身元引受人や医療同意が必要な際に、代わりとなる人物やサポートシステムが存在しないことが大きな問題です。
この問題に対処するための様々な選択肢を探ることが、今回のブログの目的でした。
さらに、収入の有無や持っている財産に応じて、どのようなサポートが利用可能かという具体例も紹介しました。
これにより、各自の状況に最も合った選択をするための参考情報を提供しました。
でも、例えば具体的な金額に触れずに、収入や財産の有無だけで説明すると、イメージが掴みにくいんじゃない?
確かにそうだね。でも考えてみて。
例えば、500万円の預貯金がある場合、人によっては十分な金額と感じるかもしれませんし、不十分と感じる場合もあります。
だからこそ、あえて具体的な数字を出さずに、状況に応じた選択肢を提案しました。
なるほど、人によって感じ方は違うもんね。
このブログを通して、おひとり様で老後を迎える際の現状と、それに対応するためのさまざまな選択肢をご紹介しました。
国の制度や民間のサービスが今後さらに改善され、例えば書面だけで身元引受人や医療同意が確認できるようになることで、おひとり様介護をより安心して経験できる日が来ることを期待しています。
おまけ(本編とは関係ありません)
福行さんが久しぶりに登場したけれど、福行さんが出てきた回を考えると もしかすると…
前回は第15話ででてきました。
第15話は今回のお話しにも出てきた小規模多機能型居宅介護のお話しの回です。
そうだよサニー。かいごのともしび第2部「かいごのコンパス編」はこの話で一旦終了です。
とうとう来た…。とうとうこの「かいごのともしび」は終わってしまうの?
「かいごのともしび」は、今のところ全然人気がないブログだからね…。
結構いい内容は書いてるんだけどね…。
せっかく遠距離介護や、急な在宅介護で、困っている人たちのみちしるべになろうと思って始めたブログなのに、こんなところで終わっていいの福行さん!
そこで、こりずに次回からは第3部「かいごのよみもの編」が始めようと思います。
「かいごのよみもの編」!!それはどんな内容なの?
介護関係の本って意外に多く出回ってるんだよ。
その本をこの介護業界29年目の私が読んでその本の書評 やおすすめポイントなどを解説できればいいなと思っています。
もちろん 第1部も第2部も一旦終了なだけですので、必要な項目や 新しい項目は、その都度「新しいお話」として、書き加えさせていただきます。
というわけで サニー。この後も ブログは続きますので いつものように終わらせましょうね。
遠距離介護や 在宅介護を頑張る皆様のココロが晴れやかになりますように!
小規模多機能型居宅介護についてはこちらのブログをご覧ください。