特別養護老人ホームの順番待ちが少なくなっている理由

はじめに

「特養ってなかなか入れないんでしょ。どれくらい待てば入れるのかな・・・?」

(条件によりますが)国民年金の額で入所することができる「特別養護老人ホーム」は、待機者(順番待ちの人)が多いことで知られています。

その 順番待ちの人が「少なくなっていますよ」というのが今回のお話です。

サニーデイ

急にそんなこと言って大丈夫なの?

サブレ

今回のお話はシルバー新聞2024年2月6日付の記事の内容を引用しています。

新聞記事の解説「東京都内の特養待機32%減」

サブレ

記事の内容を要約すると以下の通りです。

  • 東京都内の特別養護老人ホームの2023年3月末時点での入所待機者は、前年度比32%減少しました。このデータは、東京都社会福祉協議会と高齢者福祉施設協議会の調査により明らかになりました。
  • 入所希望者が申し込める施設数については、「制限なし」と答える施設が多数です。
  • 施設から入所案内を断られた人数の中央値は8人で、最大で105人と回答した施設もありました。
  • これらの結果から、待機者の中には「お守り的申し込み」が存在することが示唆されています。
  • 回答した特養での1年間の退所率は26.5%で、これを全会員施設の定員総数で推計すると、約1万2000床が新規入所可能となります。
  • 一般的には特養の入所が困難とされていますが、実際には短期間で入所可能な時代に変化しています。
サニーデイ

つまり、特養の順番待ちは少なくなってきているんだね。

「お守り的申し込み」とは

サニーデイ

途中で出てきた、お守り的申し込みって何のこと?

サブレ

例えばこの下の人のような感じ↓

特養申込者の家族

おじいちゃんが要介護3になったし、今は元気で ショートステイでも大丈夫だけれど、急に具合が悪くなった時には、特養にすぐに利用したいな…

サブレ

本当に施設に入りたいっていうわけじゃなくって、とりあえず 申し込んでおこうっていう感じの申し込みだね。

サニーデイ

このような人が施設から「入所できますよ」って声をかけられるとどうなるの?

サブレ
特養申込者の家族

まだ元気だから入りません。

こんな感じで断ってくるだろうね。

本人も家族も全く心の準備ができていないんだよ。

サニーデイ

本当に入りたくて待っている人のことを思えば、これはひどいね…。

入所を断られた人の数

先ほどの記事では、入所を断られる施設に断られた人数を聞いたところ中央値が8人だったということでした。

ところで「中央値」というのは・・・

中央値というのは、例えばアンケートの回答をあるルールを決めて順番に並べたときに真ん中に来る回答の数値のことを言います。

今回の場合では

アンケートの中で「入所を断られた人数」を抽出して少ない順から順番に並べました

(記事によれば)今回は 320 施設が回答していましたので、

回答の真ん中に来る160番目の回答が「8人」ということになります。

※厳密にいえば、160番目と161番目の人数の平均値になりますが、例えを分かりやすくするために、160番目と書かせていただきました。

サニーデイ

どうして新聞記事では、「平均値」じゃなくて「中央値」で出したの?

断られた人数の最大値が105人にもなると、平均値だとその影響で実際より多く見えてしまう恐れがあるからです。中央値を使うことで、より現実に即した数値を提供できるのです。

サニーデイ

つまり、本当は 断られている人は7人とか8人とか9人が多いかもしれないのに、この「最大値の105 人」に引っ張られて平均値が例えば30人などの結果になってしまって、アンケートの結果と離れてしまうのだね。

このような時に平均値ではなく、中央値を使うことがあります。

サニーデイ

それにしても105人に断られる ってすごい施設だね。

よほど入所申し込み者の書類を整理してないのか、入所の順番を決める会議の開催回数が少ないのか、などなど考えられそうですね。

サブレ

特養の申し込み者についての内訳についてはこちらのブログを参考にしてください。

今回は東京都の話ですが…

サニーデイ

でも今回は東京都の話でしょう?

他の地域では同じことにはなってないんじゃないの?

確かに 他の地域での統計は確認できておりませんが、実際に福行さんが働く 地域でも同じような現象は起こっているようです。

サブレ

むしろ人の少ない地域からこのような現象がすでに起こっていて、この現象がとうとう人の多い地域にも見られるようになったということだよ。

サニーデイ

これまでは特養といえば 200人待ち 300人待ちが当たり前という印象があったけれど、このような感覚は過去のものになってきてるんだね。

「それでは特養に申し込みましょう」と申し込んでも、結局そのような 気軽な申し込みがいわゆる「お守り的申し込み」につながってきます。

サニーデイ

あ、そうか…なかなかうまくいかないものだね…

しかし、申し込まなければ 先には進めません。特養に関する過去のブログを参考にしていただき、特養の入所まで スムーズにつながるようを願うばかりです。

今日のまとめ

本日は2024年2月6日のシルバー新聞の記事を引用して「特養入所の順番待ちが少なくなってきている」という内容でした。

特養入所者の中には「お守り的 申し込み」をされている方もいるため 実際に入所の案内が来ても断ってくる方がいるようです。

断ってくる方の中央値は 8名で、多い施設では105人の方に断られていたようです。

記事によれば 毎年だいたい12000床の空きが発生しているとのことです。

サブレ

特養の入所申し込みに関しては過去にブログで解説しておりますので そちらを参考にしていただいて スムーズな入所につなげてください。

おまけ(本編とは 特に関係ありません)

福行

今回から「かいごのよみもの」編です。

本を紹介するつもりだったのですが、今回は新聞記事からの引用をしました。

サニーデイ

記事も読み物ってことだね。

ところで今回からコロンに代わって、さぶぶが来てくれたんだね。

サブレ

コロンはおうちでチモシー(うさぎさんのごはんとなる干し草のこと)食べてるよ。

コロン

(゚д゚)ウマー チモシー うまーい

そのあとおひるねもするから、この第3部は任せるからって言ってた。

福行

サブレのプロフィールも追加していますので、ぜひご覧ください。

ではサニー、いつものように終わりましょう。

サニーデイ

在宅介護をがんばる皆さまのココロが晴れやかになりますように!

ABOUT US
福行(主任ケアマネジャー)
介護業界29年目の現役のケアマネジャーです。 介護福祉士を20年、ケアマネジャーは9年目です。
これまでのケアマネジャーの経験から、ビジネスケアラーとして遠距離介護や在宅介護を頑張る皆さま、介護保険サービスの使い方や将来の介護に不安を感じる方にブログを書いています。
ブログの内容は、担当するご家族様から頂くたくさんの質問のなかで、特によく聞かれる質問をもとに、介護保険制度やサービスの使い方について分かりやすく解説しています。